東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

2007年12月07日

東京弁護士会 会長 下河邉 和彦

 本日、東京拘置所において2名、大阪拘置所において1名の計3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。今回の死刑執行は、2007年8月23日の3名の死刑執行に続くもので、1993年に死刑の執行が再開されて以来、これまでに死刑を執行された者の数は60名に達した。
当会は、これまで、死刑執行に際して、その都度、会長声明、談話を発表し、一貫して法務大臣に対して、(1)死刑確定者の処遇の現状を含め、死刑制度全般に関する情報を公開すること、(2)国連や欧州評議会の動向を考察し、死刑廃止の是非を含め、わが国の刑事司法、刑罰制度のあり方の議論を国民的規模で行うこと、(3)死刑執行に一層の慎重を期し、死刑制度についてのこれら議論が尽くされるまでは、死刑の執行を行わないことなどを要望してきた。
1989年12月、国際人権(自由権)規約第二選択議定書(いわゆる死刑廃止条約)が国連総会で採択され、1997年4月以降、毎年国連人権委員会(現在は国連人権理事会)が「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で、日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」の呼びかけを行ってきた。国際人権(自由権)規約委員会は、1993年11月と1998年11月の2回にわたって、日本政府に対して死刑廃止へ向けての措置を取ること及び死刑確定者の処遇を改善することについて勧告を出している。国連の拷問禁止委員会は、2007年5月18日、日本政府報告書に対する最終見解を示し、我が国の死刑制度の問題を指摘した上で、死刑の執行を速やかに停止するべきことを勧告している。また国連総会第3委員会は、同年11月15日、「全世界的な死刑の執行停止を求める決議」を採択し、死刑存置国に対して、死刑の廃止を視野に入れて執行の停止を確立すること等を求めている。
死刑廃止条約が採択された後、世界の多くの国々は死刑が廃止されている。アメリカ合衆国の死刑存置州でも、死刑の宣告数、処刑数が減少しており、アジアにおいてもフィリピンは1994年に一旦復活していた死刑を再び廃止し、韓国では10年以上死刑執行が行われず死刑制度の廃止が検討されており、台湾でも執行の停止が検討されており、死刑廃止や執行停止が国際的な潮流となってきていることは明らかである。
このような中で、日本では死刑宣告が増加し、死刑確定者も104人に達している。今回、法務省が、死刑執行の事実だけでなく、死刑囚の氏名や犯罪事実の概要などを初めて公表したことは評価できるが、刑場の公開等、なお一層の情報公開がなされるべきである。
当会は、今回の死刑執行に遺憾の意を表明するとともに、法務大臣に対しては、死刑執行を差し控えて、死刑制度のあり方について議論を行うなど、当会がこれまで再三にわたって表明してきた要望の実現に向けて、誠実に対応されることを重ねて要望する。

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