東京弁護士会

労働者派遣法の抜本改正を求める会長声明

2010年03月08日

東京弁護士会 会長 山岸 憲司

 厚生労働省は,本年2月17日,労働政策審議会に対し,労働者派遣法の一部を改正する法律要綱案を提出し,意見を求めた。

 本要綱案は,法律の目的に派遣労働者の保護を明記するとともに、雇用の安定を図るうえでとくに問題とされてきた登録型派遣や製造業務への派遣の原則禁止,日雇い派遣の原則禁止,マージン率の情報公開,違法派遣の場合に直接雇用申込みのみなし規定を創設するなど,一定程度評価できる点もある。
しかし,各規制には多くの例外が設けられており,本要綱案は派遣労働者を保護するうえでいまだ不十分である。
すなわち,登録型派遣の禁止では,①専門26業種,②産前産後休業・育児休業取得者の代替要員の派遣,③高齢者派遣,④紹介予定派遣など,広く例外を認めている。とくに,専門26業種のなかには,「事務用機器操作」,「ファイリング」,「財務処理」,「清掃」,「受付・案内・駐車場管理」など,今日では専門性があるとは言えない業務が含まれており、これを放置したままでは登録型派遣規制の実効性を減じることになる。
また,製造業務への派遣では,「常時雇用」の定義を不明確にしたまま常用型派遣を例外として認め,日雇い派遣についても,政令による例外を認めるなど,規制が骨抜きになるおそれがある。
派遣先企業による規制違反に対しては,広く直接雇用を認めるべきところ,直接雇用申込みのみなし規定では,派遣先の故意・過失を要件とするなど限定的である。
さらに,期間の定めのない派遣労働者への対応として,当事者の合意があるときに事前面接等の行為を解禁したこと及び専門業務に従事し派遣期間が3年を超えたときに派遣先の労働契約申込義務を免除した点などは,現行法よりも後退している。
しかも,製造業務派遣及び登録型派遣の原則禁止の施行日を,3年内の政令で定める日としているが,派遣労働者の不安定雇用の解消が喫緊の課題であることを考慮すると,早急に対応すべきものである。

 当会は,昨年2月9日に「労働者派遣法の改正を求める意見書」を発表し,派遣労働者保護の観点から,登録型派遣の禁止及び派遣対象業務を限定することなどを柱とした労働者派遣法の抜本的改正を求めてきた。
したがって当会は,労働者派遣法が真に労働者保護法となるよう,今後の法案審議において抜本的な改正論議が行われることを,強く要望するものである。

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