東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

2010年07月28日

東京弁護士会 会長 若旅 一夫

 本日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 死刑が執行されたのは、昨年7月以来1年ぶりのことであり、民主党政権に政権交代し、千葉景子法務大臣が就任してから初めての死刑執行である。
千葉法務大臣は、7月27日、民間人閣僚となって初めての記者会見で、死刑執行について、「死刑は大変重い刑であり、これまでも慎重に対応されてきた」と述べて、慎重に対応すると発言していただけに、本日の死刑執行は極めて意外であるとともに死刑執行が再開されたことは極めて遺憾である。

 死刑をめぐる国際的な潮流は、死刑の廃止ないし執行停止に向けて大きく動いてきている。
2008年12月18日には、国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択されている。
2008年10月には、国際人権(自由権)規約委員会の日本の人権状況に関する第5回審査の総括所見において、死刑制度については、政府は世論に拘わらず死刑廃止を前向きに検討することや、恩赦・減刑・執行の猶予が利用可能となること、必要的上訴制度を導入し、再審・恩赦の請求に執行停止効を持たせることなどが勧告されている。
死刑存置国であるアメリカ合衆国においても、死刑廃止州が拡大している。アジアにおいても、1994年フィリピンは一旦復活していた死刑を再び廃止し、韓国では10年以上死刑執行が行われず、事実上の死刑廃止国とみなされている。

 日本弁護士連合会は、2002年11月に「死刑制度問題に関する提言」を発表し、死刑制度の存廃につき国民的論議を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱している。
最近、足利事件を始め多くの事件で、現在においても自白を強要して虚偽自白を得る形での冤罪が発生していることが明らかとなっており、死刑事件においてもそのような疑いがないとは言えないことから、今こそ、死刑制度の抱える問題点について、幅広く、かつ、冷静な国民的議論を行う必要があり、そのためには、死刑の執行を停止すべきことが求められている。

 当会は、今回の死刑執行に対して遺憾の意を表明すると共に、法務大臣に対しては、当会がこれまで再三にわたって表明してきた国民的議論の開始と死刑執行の停止という要望の実現に向けて誠実に対応するよう求めるものである。

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