東京弁護士会

外出する受刑者に位置把握装置の装着等を義務付ける刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則改正に反対する会長声明

2011年05月24日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

法務省は、刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則(法務省令)を改正し、受刑者に外部通勤作業を行わせる場合又は外出・外泊を許す場合に、受刑者に位置把握装置(GPS機能付きの携帯電話と手首か足首に巻く小型装置)を装着等することを条件としようとしている。同改正規則は、本年6月1日から施行される。

刑事被収容者処遇法の一つの目玉であった外部通勤や外出・外泊の運用が低調であることは確かであり、これをより利用しやすいように運用したいとする意図自体は理解できない訳ではない。

しかしながら、位置把握装置の形状や利用方法によっては、それを装着して外出・外泊する受刑者が一般市民から一目瞭然となり、事実上、受刑者が外出することを妨げることにならないか、受刑者が常時監視されていると意識することにより、精神的・心理的な圧迫をうけるおそれがないかについて、何ら実証的な検討がなされないまま、法律改正ではなく、法務省令の改正という省内の内部手続によって導入されようとしていることについては疑問なしとしない。

また、位置把握装置の装着等に受刑者が同意しない限り、外部通勤や外出・外泊が実現しないことになり、受刑者によっては、事実上同意することを強制される者も出てくるかもしれないことが予想される。

さらに、外部通勤や外出・外泊の場面での位置把握装置の装着等の実績を踏まえて、今後、位置把握装置の装着等が仮釈放の条件とされるなど、他の場面での位置把握装置の利用の拡大につながり、受刑者に対する過度の自由の制約に道を開くのではないかとの懸念もある。

よって、当会は、このような法務省令の改正には反対であり、仮に導入するにしても、試行期間を設け、且つ、運用に際しても、外部通勤や外出・外泊を希望する受刑者に対し、位置把握装置の装着等を事実上強制することがないよう慎重の上にも慎重を期することを強く要望する。

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