東京弁護士会

国民生活センターの消費者庁への統合に対する会長声明

2011年06月28日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

消費者庁が設立された後の国民生活センターの在り方につき、消費者庁と国民生活センターが設置した「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」は、平成23年5月13日「中間整理」を公表し、その後のパブリックコメントと公開ヒアリングを経て、現在「中間整理」を踏まえた取りまとめを行っている。
「中間整理」では、国民生活センターの各機能が消費者行政の機能として必要であること、各機能の相互補完性及び一体性の必要性が確認された点は評価できるものの、基本的に、国民生活センターを消費者庁に統合することが示されている点については、以下の理由から強い危惧を覚える。

第一の問題点としては、国民生活センターはこれまで全国の消費生活センターからの情報を「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)」を通じて集積し,これを分析して、消費者にタイムリーに注意を呼びかける消費者支援機能を果たしてきた。ところが、この機能が、国民生活センターが消費者庁に統合されることにより、厳格な法の解釈・運用を前提とする執行部門との調整が必要になることによって、時宜を得た注意喚起ができなくなることが強く懸念される。

第二に、相談処理、研修、商品テスト、ADRなどの業務は独立性と専門職員養成の人事面の独立性が求められるが、これらの業務を担う部門が、消費者庁のもとで、独立性を確保できるのか極めて疑問である。

第三に、国民生活センターの業務・組織などの検討に際しては「消費者委員会による実質的な審議結果を踏まえた意見を十分に尊重」(参議院付帯決議)することが求められており、その消費者委員会は本年2月から検討を行ってきた結果、中間整理における一元化案には懸念される点が少なからずあるとして、「中間整理案を含めて、当事者のみの議論ではなく消費者・消費者団体、事業者などの関係者、有識者も加わった公開の場で審議を深めた上で最終的な判断を行うことが望ましい」との意見を本年6月10日に公表している。

このようにタスクフォースによる「中間整理」の内容には、数々の問題点が存在する。
それにもかかわらず、消費者庁への一元化の方向が確定したものとして、近々消費者基本計画の見直し案に盛り込まれて、閣議決定されようとしている。

国民生活センターは、これまで消費者の利益擁護の面で重要な機能を果たしてきた機関であることは疑いないところである。上記問題点が存在するにもかかわらず、国民生活センターをひとたび消費者庁に統合して消滅させてしまえば、これまで国民生活センターが果たしてきた各機能が従前のように発揮されなくなった場合、もはやそれを回復することはできない。それは消費者にとって大きな損失である。

よって当会としては、上記問題点を克服し、国民生活センターが有する各機能をこれまで以上に発揮できるような組織・運営体制の構築のため、当事者である消費者庁と国民生活センターのみによる議論ではなく、消費者委員会の意見にあるように広く関係各層による、慎重な検討を要望するものである。

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