東京弁護士会

「東京都公文書の開示等に関する条例」の改正に関する申入書

1997年12月04日

東京弁護士会 会長 堀野 紀

1997年(平成9年)12月4日 東京都における情報公開制度のあり方に関する懇談会
座長 大森 彌 殿

 ここ数年、情報公開に関する条例・制度の利用に関する人々の関心は全国的に急激に高まっています。東京都においても都民が税金の使途や都政の実態を調査検討するという観点から、気軽に情報公開請求をするようになって来ました。
都政のすべてを役所や議員に任せきりにしていた都民が、一都民として都政の実情に関心を抱き、情報公開請求をし、その公開された内容をもとに積極的に意見を表明するようになって来たことは、憲法で保障された地方自治・住民自治を実質化するものとして、積極的に評価されるべきです。
「東京都公文書の開示等に関する条例」(以下、都条例という。)はこれに大いに寄与しており、住民自治にとって必要不可欠な制度であることが広く都民に実感されています。
しかし、都条例はいまから12年前の1985年4月に施行されたものだということもあって、都民が実際に都条例を利用することを通じて、規定の仕方や運用に様々な不備があることが明らかになっています。都条例の大幅な見直し改正が必要な時期に来ています。国レベルでも、情報公開法の成立が時間の問題という状況になっています。 このような時期に、東京都が懇談会を設置し、都条例を全体的に見直す作業に踏み切ったことは高く評価されるべきものと考えます。
当会では、都民の知る権利の保障を更に発展させるという観点から、別紙のとおり、要望します。


要 望 事 項

1 条例の名称変更
『東京都公文書の開示等に関する条例』という名称を、『東京都情報公開条例』と改 称する。
〔理由〕
情報公開制度は広く一般の人々が(地方)政府の行為を監視するための制度であるか ら、一般の人々にとって制度の存在自体がわかりやすくなっていなければならない。そ のためには、だれもが一目で情報公開制度だと分かるような名称になっていることが重要である。
「公文書の開示等」という表現は本条例の内容を示すという観点からすれば決して誤 りではないにしても、都民にとってそれが情報公開制度として分かりやすい名称になっているかと言うと甚だ疑問である。また、情報公開の対象情報として電子情報なども広く含める方向にあることも併せて考えるならば、「公文書」の開示という名称は相応しいものではなくなる。他方、「情報公開」という言葉はいまやマスコミで取り上げない日はないと言ってもよいほどだれにでも知られるようになっており、民主政治のキーワードとして広く認められている。
情報公開制度の存在をより多くの人々に認知してもらうために、『東京都情報公開条例』と改称すべきである。
これに伴い、条例、規則、要綱中の「開示・非開示」は「公開・非公開」に変更する必要がある。

2 知る権利の保障
第1条の目的規定に、都民の知る権利の保障として都条例が設けられていることを明記すること。
〔理由〕
情報公開が恩恵ではなく、住民自治の担い手である住民の権利であることを明記することによって、情報公開制度の位置づけを明らかにし、都民の主権者としての主体的積極的な利用を促すべきである。また、目的規定中に知る権利を明確に位置づけることによって、第2条以下の規定の解釈のあり方を方向づけることができる。
(地方)
政府の説明する責任(accountability)については、これを知る権利と並列することはよいとしても、知る権利の代わりに規定するという選択はなすべきでない。なぜなら、政府の責任の問題としてしまうと、広報や公開義務制度との質的な違いが不明 確になってしまうし、権利と明記してこそ情報公開制度における請求者の主体的な位置づけが明確になるからである。

3 実施機関の拡大
「警視庁」「議会」及び「都が出資している特殊法人」を実施機関に入れること。
〔理由〕
警視庁と議会を実施機関から外すということは、主権者たる都民の監視の対象から外すことであり、情報公開制度の趣旨に合致するとは到底考えられない。
議会については会議の公開のみならず、議会活動の実態についても都民の関心は広ま っており、議会を実施機関に入れる必要があり、実際にもそのような条例が増える傾向にある。
警視庁については、莫大な税金がその運用に供せられているということからすれば、 税の適正使用という観点などから、すでに実施機関になっているところと区別する理由はない。赤坂署日当ネコババ事件のような事件が起こる背景には、およそ情報公開請求されることはないという奢りがある。
都が出資している特殊法人についても、都民の多大な税金が恒常的に遣われていることは、従来の実地機関と全く同じである。都民には納税者として税金の使途について知る権利がある。無駄な遣われ方があれば、その中止を求め、あるいは都への返還を求める権利がある。都が出資している特殊法人を除外すべき合理的理由はない。

4 公文書の定義の拡大
(1) 公文書の定義は、広く「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書で、実 施機関が管理するもの」とし、決済手続の終了を要件とすべきではない。
(2) 重要な情報が必ずしも紙に記載されるとは限らず、フロッピーディスクや光ディスクなどの電子記録媒体も広く公文書に含めるべきである。
(3) 「管理」には実施機関がその職務の必要に応じて取り寄せ、閲覧できる場合を含むことを明記すべきである。
〔理由〕
(1) 都民が情報公開請求することの意味は、都政の意思形成が適正であるか否かを、その意思形成過程と同時並行で、あるいは事後的に検討しようというところにある。決済手続の終了を要件とすると、決済手続を遅らせたり、決済手続を経ない文書を多くすることにより、都民が実際の意思形成過程に影響を与えている重要な資料に接することができないということが起こりうる。それでは都民は適切な意見を述べることが できない。したがって、公文書の定義は上記のように広くすべきである。 情報公開法要綱案でも決済手続を経ているか否かを要件としていない。
(2) 都条例制定後、情報の伝達記録の仕方は激変している。都政の実務において情報の 伝達記録の方法として実際に採用されているものを考えるならば、フロッピーディス クや光ディスクなどの電子記録媒体も広く「公文書」に含めるべきである。
(3) 公文書の管理は文書管理規程及び会計規則という内規によって規定されており、行政の内部判断で自由に管理形態を変更することができる。実際には、食糧費の情報公開請求により都知事が責任追及されたことを踏まえて、従来、出納長室に管理されていた議会局や公安委員会の食糧費に関する資料のほとんどが、本年4月1日から、議 会や公安委員会の直接管理下に置かれることに変更されたため、出納長室に対して情 報公開請求をしても支出命令書1枚しか保管されていないとして、それだけしか対象 文書にならなくなっている。しかし、出納長室ではその職務上の必要に応じて関連資 料(起案文書や請書、請求書など)を閲覧検討しているのであるから内部規則で分離 管理を決めたことをもって、情報公開の対象外とするのは不合理である。このような 文書も出納長室の「管理」下にあるものとして情報公開請求の対象として認めるべき である。

5 請求権者の拡大
情報公開請求権者の資格制限を無くすべきである。
〔理由〕
本条例が請求権者を「都民」に限定している理論上の根拠は、本条例の運用が納税者 (taxpayer)の負担によっておこなわれているという点にあると思われる。しかし、そうだとすると、都民税を払っていない子どもや障害者などは本条例の「都民」から除外されるべきことになるはずだが、本条例はそのような除外規定を設けていない。決して納税者負担が貫徹しているわけではないのである。
本条例が請求権者を「都民」に限定している実質上の根拠は、「都民」に限定しないと、情報公開権者の範囲が無限に広がり、実施機関が情報公開請求の対応に忙殺され、また職員の配置を初めとする諸々の負担増になるかもしれないという懸念にあるのではないかと考えられる。
しかし、実際にそのような事態が生じるかどうかは、すでに「何人も」と規定している自治体の実績からしてそのように言えるのか疑問であるし、仮に東京都の場合は忙殺されることになる可能性があるとしても、それはそれだけ社会的に意味のある情報を東京都が保有していることの結果であって、やむを得ないことである(但し、大量請求をしておきながらこれを受け取りに来ないような場合については、手数料の徴収方法や、その後の情報公開請求に応じるべきか否かなど規定を検討の余地がある)。また、制度の利用状況が落ちつけば、忙殺という事態はなくなるはずだし、広報の充実や公開義務制度の創設によっても情報公開の対応に関する負担はかなり軽減できるはずである。
更に、都政に対して強い関心を抱き適切な意見を述べる者は「都民」に限らないのであるから、情報公開請求権者を「都民」に限定すべきではないし、公開された情報の利用は都民に限定できず、かつ公開された情報が他の自治体の住民を介して当該自治体によい影響を与えるということもあり得ることを考えても、情報公開請求権者を「都民」に限定すべきではない。

6 写しの交付方法の指定
コンピュータ処理されている情報については、写しの交付方法を紙にするか、フロッ ピーディスクにするか、請求者に選択させる。
〔理由〕
今日、情報管理の方法は紙によるとは限らない。コンピュータ処理情報が増えることにより、情報公開請求の対象文書も当然コンピュータ処理情報が増えるはずである。その場合、常に紙に印刷したものを交付しなければならないとすることは実施機関にとっても請求者にとっても不便であり、また資源の無駄遣いである。一部非公開の場合の処理方法について検討を要するとしても、少なくとも全部公開の場合については何ら支障はないはずである。

7 回答期限の短縮化
情報公開情報に対して、直ちにあるいは短期間で回答できるものは、2週間の期限を待たずに速やかに回答すること。
〔理由〕
条例では回答期限を2週間と定めているが、それが実際には「2週間は回答しなくてもよい」という運用になってしまっている。情報公開請求する側からすれば、請求したときが見たいときなのであるから、直ちにあるいは短期間で回答できるものは、2週間の期限を待たず速やかに回答すべきであり、従来の運用を改めることを周知徹底するた めに、このことを明文化する必要がある。

8 非公開理由の付記
非公開決定をする場合には、非公開理由は、非公開とした個々の箇所毎に個別具体的に記載すべきことを条例で明示すること。
「不存在」の場合もその理由を付記すること。
〔理由〕
ここに情報公開制度の運用の最大の問題があると言っても過言ではない。
非開示決定通知に記載される非開示理由が極めて曖昧抽象的で、どの部分がどのような理由で非開示にされたのか説得力ある説明がないものが極めて多い。そこで、(1) 非公 開部分の特定、(2) その非公開理由の該当条文、(3) 非公開理由の条文に該当する具体的な理由、を各非公開項目毎に記載させる、ヴォーンインデックスに類する制度を導入すべきである。この点が解決できれば合理的な非公開理由は説得力を持ち、誤解に基づく不 服申立や訴訟を回避できる。不服申立や訴訟の手続はこの説明が合理的であるか否かを 判断する手段だという位置づけをすれば、審理期間・訴訟期間は大幅に短縮化できるはずである。
情報公開制度における公文書「不存在」は一様ではない。(1)そもそも作成・取得していない場合だけでなく、(2)実在するが条例の「公文書」の定義に当てはまらないという解釈をして「不存在」と答える場合、(3)公文書として実在するが、請求相手である実施 機関が保管していない場合、(4)保存年限を経過したとして文書管理規則上存在しないことになっている場合、(5)かつては存在したが違法に廃棄焼却等してしまって現在は存在しないという場合など、いろいろある。同じ「不存在」という結論ではあっても、その 理由如何によっては異議申立・訴訟できる余地があるので、「不存在」の理由を明記する必要がある。

9 非開示理由の制限
(1) 法令情報(1号)
削除すべきである。
〔理由〕
都条例の運用の実態を見ると1号は実際にほとんど適用されたことがなく、1号が非 公開理由として挙げられる場合には、2号以下の規定も併せて挙げられるのがほとんどである。要綱案でも1号のような例外規定を設けていない。そもそも1号に該当するであろう「法令」が当初から情報公開制度の存在を念頭において立法されたものだとは言いがたいし、個別具体的な事情を完全に捨象した非公開処分の類型を認めることは、情報公開制度の趣旨に反する。
(2) 個人情報(2号)
個人識別型からプライバシー型へ。
〔理由〕
都条例の運用の実態や、他の自治体で個人識別型の規定をしている条例の運用の実態からすると、「個人の識別が可能だ」という一事をもって個人名や肩書などを非公開とする傾向が顕著にある。実施機関に本号の運用を慎重なさしめるためには、本来法の趣 旨が個人の人格や個人の私的生活などのプライバシー保護にあることを明らかにし、この規定の濫用を牽制すべきある。
(3) 事業活動情報(3号)
「・・競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位を不当に害することが明らかなもの」という限定を加えるべきである。
〔理由〕
農薬入り健康茶事件の判決が現在の規定を前提に適切な判断をしていることからする と、改正は不要だという考えもあり得る。しかし、実施機関は同じ規定をもとに全面非公開であったし、不服審査会も請求者が最も望んだ商品名・業者名を非公開とする一部公開でしかなかった。提訴後も全面的に非公開の正当性を主張し続けた。情報公開請求 から全面公開まで実に3年半もかかった。この現実からすると、裁判所が最終的に適切 な判断をなし得る規定になっていればよいとは言えないのであって、実施機関において 適切に解釈運用できるようになっている必要がある。そうすると、条文上上記のような 制限は農薬入り健康茶事件の判決に沿ったものであり、決して行き過ぎた制限ではない。
(4) 犯罪予防・捜査等情報(4号)
「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護」と「犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持」とは別けて規定し、後者については、「支障が生ず るおそれがある」を「著しい支障が生ずるおそれがある」に限定すべきである。
〔理由〕
「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護」と「犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持」とでは、保護利益の内容が異なる。前者が個人的な利益の保護を考えているのに対して、後者は公共的な利益の保護である。前者が具体的な利 益としてわかりやすいのに対して、後者は観念的抽象的になりがちな利益である。しかも、「支障」が生じる「おそれ」という表現は拡大解釈されるおそれがあるだけに、後者については、「著しい支障」という限定を加える必要があるのである。
(5) 協力信頼関係情報(5号)
削除すべきである。
〔理由〕
協力信頼関係という概念は極めて抽象的主観的な概念であるため、恣意的に運用されるおそれが極めて大きい。例えば、都があるテーマについて各自治体から収集した情報 について情報公開請求を受けた場合、同じ内容の回答でありながらA県は「公開してよい」と答え、B県は「公開してもらっては困る」と答えるということが起こり得る。その場合、都は各県の言いなりにならなければならないということになれば、他の自治体 は公開に否定的な回答さえしておけば公開を免れるということになるが、それが条例の 運用として果たして適切なのか。B県の情報公開条例に基いて請求すれば、行政運用情報への該当性が慎重に検討されるはずであり、これとの均衡を失する。
(6) 合議制機関情報(6号)
削除すべきである。
〔理由〕
「議事運営規定」「議決」の内容の具体的妥当性を全く問わないで非公開にできるというのは、原則公開という情報公開制度のあり方に真っ向から反する。 仮に残すとしても、「開示することにより」以下の規定だけで十分である。
(7) 意思形成過程(7号)
削除すべきである。
〔理由〕
「意思形成過程」という概念はあまりにも漠然とし過ぎ、考え方によっては全ての手続過程が意思形成過程だと言えないこともない。
情報公開制度の意義は住民自治の実体化にこそあることからすれば、むしろ意思形成 過程情報こそ積極的に公開されるべきであるという、基本的な姿勢を持つ必要がある。 客観的資料の公開は多面的で有益な意見を集約する最も有効な手段となり得るものであるから、原則的に公開すべきであるし、個々の意見についても、それが公開されることが議論をより活発化するはずのものであることからすれば、やはり公開を原則とすべきである。
情報公開制度はその運用によって多方面から多面的な意見が出ることを予定している制度であるから、情報公開によって「支障が生ずる」のは当然の結果である。従来の情報非公開の下で"円滑に"意思形成ができていたことを正常なものと位置づけること自体が誤りである。
(8) 行政運営情報(8号)
「おそれがあるもの」を「ことが明らかなもの」に、「執行に支障が生ずるおそれ」を「執行に著しい支障を生ずるおそれ」に、限定すべきである。
〔理由〕
実務において、「おそれ」は「何らかのおそれ」、「支障」は「何らかの支障」と解釈運用されている。そうなると、「監査・・に関する情報」は原則非公開ということに なってしまう。このような事態を回避するには、「何らかのおそれ」「何らかの支障」という解釈ができないように、上記のような限定をしておくべきである。

10 存否応答拒否処分
規定を設けるべきでない。
〔理由〕
従来の条例の運用においては、請求者が納得するような非公開理由の具体的記載がなされないのが日常であり、それは非公開理由を一々説明する必要はないという姿勢が見て取れる。異議申立や訴訟においても、実施機関は現実離れした空理空論を延々と展開し、ひたすら公開を先延ばしにしようとする。これまで公開して来なかった情報はとにかく公開したくないという態度が、実施機関には露骨にある。それだけに、情報の存否 を答えなくてよいなどという選択肢を与えるなら、濫用される可能性は極めて大きい。 情報公開の方向で世界の先端を進んでいる米国で、判例上存否応答拒否を認めていると いうことから、直ちに現在の日本の東京都にも認めるべきだということにはならないは ずである。

11 開示手数料
(1) 情報公開を受ける際の費用として、開示手数料制度とコピー代とがあるものとし、 営利目的の場合には開示手数料制度とコピー代を徴収し、非営利目的の場合にはコピー代だけを徴収する。そして、非営利目的のうち、公益目的の場合についてはコピー代を減免する。
(2) (1)のような制度を運用するために、情報公開請求するときに、請求者がどの立場で請求しているのか文書又は口頭で説明させる。必要であれば補充説明を求めることができるものとする。虚偽説明をした者に対しては料金を追加徴収する。
(3) コピー代は世間相場のB4、1枚10円とする。
〔理由〕
(1) 情報公開請求の目的は、まず営利目的か非営利目的かで二分でき、次に非営利目的を公益目的とそうでないものに二分できる。営利目的の請求者に対しては開示手数料 とコピー代の徴収があってしかるべきである。しかし、非営利目的の請求者にとって 開示手数料は大きな負担となり、情報公開制度の利用を自己抑制させてしまうから、この負担をさせるべきではない。そして更に、非営利目的のうち公益目的で情報公開 請求をしている場合は、いわば公務を補完するような働きをしようとしているわけで あるから、私的な利用と同列にコピー代を徴収するのは均衡を失している。公益目的 の場合にはコピー代の減免が認められるべきである。
(2) 請求者がどれに該当するかの審査手続が必要になる。基本的には、1. 請求者がどのような立場で請求しているか、2. 公開された情報をどのように利用しようとしている か、の2点を具体的に確認することで判別できると思われる。 虚偽説明をして費用を軽減された者は、不足分の追徴を受けるものとするのは当然 である。
(3) コピー代を高額にして情報公開請求を自制させるなどという態度は、本末転倒であ る。実費の限度に止めるべきである。

12 不服申立制度
(1) 情報公開審査会の委員の人選として弁護士会推薦枠を認める。
(2) 申立人・相手方のそれぞれが審査会に提出した書面や資料は、それぞれ相手方にも交付する。
(3) 申立人・相手方の口頭意見陳述は公開手続でおこなう。少なくとも、対立当事者の立会い権は認める。
(4) 不服申立から2-3ケ月以内に結論を出すことを原則とする。
〔理由〕
(1) 審査会の答申の内容からして、委員構成に偏りがあるのではないかという疑問を抱かれるようなことがあると、せっかくの審査会答申が軽視されることになりかねない。 委員構成の公正のために、都が特定の弁護士を一方的に指名するのではなく、弁護士 会推薦を認めるべきである。
(2) 双方の主張及びその裏付け資料が、双方に全部提供されないと、どちらにとっても訳のわからないところで審査会答申が出たという印象を持たれかねない。
(3) (2)と同様の趣旨。
(4) 情報公開請求者にとって、情報公開請求すること自体に意味があるのではなく、公開された情報を利用するところにこそ意味があるのであるから、不服審査に延々と月日をかけることはときとして情報公開請求の意味を没却してしまいかねない。非公開理由が最初から明示され、その適否だけを検討すればよいという仕組みにすれば、ご く短期間で答申を出すことは可能になるはずである。

13 原告勝訴事件における弁護士報酬
非公開処分に対して提訴したところ、原告側が(一部)勝訴したという場合、原告代理人としての弁護士費用を自治体が負担する。
〔理由〕
情報公開請求訴訟は住民訴訟と性格が似ている。本来、自治体が公開すべきところを その判断を誤って非公開としたために、住民が自治体の情報公開のあり方を正すために提訴せざるを得なくなり、結果として勝訴した場合、それは新たに具体的な公開基準を明確にしたことになり、自治体のその後の情報公開の運用にとって有益である。自治体 は、いわば住民の経済的負担(弁護士費用)によって新たな運用基準を手に入れたので あるから、その経済的負担は最終的には自治体が負うべきである。
また実際にも、全部または一部非公開処分に不満があっても提訴を決断できない理由のひとつとして弁護士費用の問題がある。原告勝訴の場合だけについて自治体が弁護士費用を負担するということだけでも、法定の場で情報公開の基準について争いたいと思う者にとっては大いに意味があるはずである。

14 文書作成義務
実施機関は誠実に文書を作成しなければならないことを明記する。
〔理由〕
情報公開が進むに連れて、実際には文書が作成されなくなったり、作成文書の記載内容が極端に簡略化されたりするような傾向が出てきている。例えば、懇談会費の情報公開請求が目立って行われるようになると、それまで起案文書に記載していた出席者名を記載せず、出席人数だけを記載するとか、職員会議録で個々の教諭の発言を記載していたのが情報公開請求を契機に議題の項目しか記録されなくなったというような現象が現われている。
情報公開制度を形骸化させないために、後任者や部外者が事後に記録を見ても十分に内容が理解できるように誠実に具体的に記録するよう義務づけておく必要がある。

15 文書管理規程・会計規則の条例化
従来、内部規則とされてきた文書管理規程と会計規則は条例化すべきである。
〔理由〕
情報公開制度と文書管理との関係は、情報公開法要綱案の考え方が指摘するように、 車の両輪の関係にある。文書管理が適切になされていなければ、情報公開制度は空洞化しかねない。これらの規程・規則が内部規則として内部で自由に変更できる現状では、文書の保管方法の変更や、文書の保存年限の短縮化などの重要事項が内部判断で自由にできてしまう。これは情報公開制度の趣旨に反する。
また、条例の大幅見直しを契機に、他の地方自治体の例にみられるように、文書管理 体制の抜本的改革(例えば、浦和市のファイリングシステム)を行うべきである。これによって行政事務の効率化と文書管理責任体制の確立が計られ、大いに行政改革が促進される。

16 研修制度
情報公開を前提とする行政運用になっていることの意味と実際上の運用のあるべき姿について、定期的に充実した職員研修をする必要がある。研修制度を明文化すべきである。
〔理由〕
非公開理由の限定について様々な議論をせざるを得なくなっている原因は、実施機関が条文の文言や制度趣旨にしたがった運用をしておらず、条文の文言と運用の実態が乖離しているからである。
それは実施機関としての自覚に欠け、実施機関として情報公開制度について十分の理解をしていないからである。実施機関になっている以上、いつでもどのような情報についても情報公開請求はあり得るものとして、情報公開制度に対する基本的な考え方や文書管理がなされていなければならない。

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