東京弁護士会

「福井女子中学生殺害事件」再審請求棄却決定に対する会長声明

2013年03月08日

東京弁護士会 会長 斎藤 義房

名古屋高等裁判所刑事第1部は本年3月6日、いわゆる「福井女子中学生殺害事件」につき、同高裁金沢支部が2011年11月に出した再審開始決定(原決定)に対する検察官の異議を認めて原決定を取り消し、前川彰司氏の再審請求を棄却する決定(本決定)をした。

本件は、前川氏と事件とを結びつける物証が全くない事件であり、前川氏は当初より一貫して無実を主張してきている。この件について1995年2月に前川氏を有罪とした名古屋高裁金沢支部の確定判決は、「事件の後に衣服に血を付けた前川氏の姿を見た」とか「前川氏から犯行の告白を受けた」等の前川氏の周囲の者の供述のみから前川氏を有罪としたものであり、前川氏の有罪を基礎づける証拠の構造はもともと極めて脆弱なものであった。
そして前川氏の再審請求を認めた原決定は、前川氏側から提出された鑑定書等の新たな証拠をふまえ、有罪判決が凶器と認定した2本の包丁では形成できない傷があること、犯行に使用したとされる自動車内から発見されてしかるべき血痕が発見されていないこと等から前川氏を犯人とするには合理的な疑いが残るとしたものである。

ところが今般の本決定は、原決定が前提とした証拠構造とほとんど変わりがない状況において原決定の判断をあえて覆した。このような決定は、事後審としての役割を逸脱するものである上、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則を否定するものであり、著しく正義に反するといわざるを得ない。

無実の立証の負担を被告人に課したような本決定は直ちに正されなければならない。当会は、前川氏の再審が一日でも早く開始されることを強く願うものである。

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