東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

2013年04月26日

東京弁護士会 会長 菊地 裕太郎

本年4月26日東京拘置所において2名の死刑囚の死刑がそれぞれ執行された。谷垣禎一法務大臣は、昨年12月に就任後4ヶ月で5人の死刑執行を命じたことになる。
死刑は、かけがえのない生命を奪い、人間の存在を完全に否定するという不可逆な刑罰である。また、罪を犯した人の更生と社会復帰の可能性を完全に奪うという取り返しのつかない刑罰であるという問題点を内包している。
日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止すると共に死刑冤罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要望書」を提出し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開するよう求めるとともに、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ死刑制度の在り方について結論を出すこと、その議論が尽くされるまでの間、死刑の執行を停止すべきこと等を求めていた。
その要請に対して何らの配慮もせずなされた死刑執行は、到底容認できない。 

国際的に見ると、2010年の国連総会において、死刑執行の一時停止を加盟国に求める3度目の決議が109カ国の賛成多数で採択されており、反対票を投じた国は日本を含め41カ国にとどまっている。また、日本に対しては、国連拷問禁止委員会や国連人権理事会、国連規約人権委員会から死刑廃止に向けた様々な勧告がなされている。ちなみに、2012年5月現在の死刑廃止国は141カ国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む)、死刑存置国は57カ国であって、世界の3分の2を超える国が死刑を廃止ないし執行の停止をしている。

わが国では死刑事件について4件の再審無罪判決が確定しているうえ、近時足利事件、布川事件について裁判所は再審無罪判決を言い渡し、東電社員殺人事件の再審において無罪が確定している。さらに、死刑が執行されてしまった飯塚事件についても、精度の低いDNA鑑定が決め手となったことに疑問が生じており、近時の科学的捜査の発達により死刑判決の見直しがなされる可能性が高くなっている。
このことは、刑事裁判における冤罪の危険性と死刑の執行による取り返しのつかない人権侵害の恐ろしさを如実に示している。 
こうした状況において、死刑を執行する必要性があったのか、更には死刑執行について熟慮を尽したのか、あらためて問われなければならない。

当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議する。あわせて法務大臣に対し、死刑制度の廃止についての国民的議論の開始と死刑執行の停止に向けて誠実な対応をするよう、重ねて求めるものである。

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