東京弁護士会

石破茂自民党幹事長発言に抗議し特定秘密保護法案の廃案を求める声明

2013年12月04日

東京弁護士会 会長 菊地 裕太郎

 さる11月29日、石破茂自由民主党幹事長が自身のブログで「今も議員会館の外では『特定機密(ママ)保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています。」「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。」と発言した。
 しかし、世論調査や地方公聴会の結果では特定秘密保護法案の危険性と拙速性を批判する声が大多数であるにもかかわらず、そのような市民の声を聞こうとせず強引に強行採決で同法案の成立を図ろうとしているのは政府及び与党であり、デモや集会における多くの反対の声は、そのような政府及び与党の非民主的な手法に対する多くの市民からの悲痛な抗議である。
 にもかかわらず、国会周辺での同法案反対の声に耳を傾けるどころか、そのような市民からの抗議の声を「単なる絶叫戦術」と決めつけ、「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と言い放った石破氏の発言は、憲法で保障されている言論、表現の自由に基づく正当な抗議活動を「テロ行為」と同視して排除しようとするものであり、基本的人権の保障に対する無理解に基づくものであるとともに、民主主義社会における市民の自由な意見表明を抑圧しようとするものであって、石破氏が与党・自由民主党の幹事長という影響力ある立場であることを考えれば、到底容認できない。
 石破氏は、この発言に対する強い批判を受け、12月1日、「テロと同じだという風に受け取られる部分があったとすれば、そこは撤回する」等と発言して謝罪したが、相変わらず「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と述べるなど、議会における多数決のみを民主主義の本来的手法であるかのような認識を示し、市民の自由な意見表明を民主主義にとって好ましくないものとする基本的姿勢を変えておらず、前記発言を撤回したとは言えない。
 そればかりではなく、石破氏のこの発言は、端なくも今まさに国会で審議中の同法案の危険性を白日の下に晒した。同法案第12条2項は「テロリズム」の定義を定めているが、これに対しては「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」する行為がそれ自体で「テロリズム」に該当すると解釈されるのではないか、との疑義が示されている。この点について、政府は「人を殺傷する」などの活動に至る目的としての規定であるとし、石破氏も説明を修正したが、政権与党の幹事長が上記のような発言をしたことは、その後発言が修正されたとはいえ、デモなどの市民の表現行為が「強要」と評価され、直ちに同法案の「テロリズム」に該当すると解釈されることもありうるという危険性を如実に示している。このような「テロリズム」の解釈の問題については、国会審議においても疑念が指摘されたが、政府は条文の修正をしようとしていない。このように、同法案が特定秘密とする「テロリズム」の定義が広範、曖昧であって政府の恣意的指定の危険性が大きく、自由な市民活動をも「テロリズム」とみなして運用される危険性が明らかになったのであるから、同法案をこのまま成立させることは許されない。
 よって当会は、民主主義における表現の自由の重要性に鑑み、石破氏の上記発言に抗議するとともに、危険性がより明らかになった同法案の廃案を強く求めるものである。

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