東京弁護士会

特定秘密保護法施行令等の閣議決定に反対する会長声明

2014年10月21日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

   2014年(平成26年)10月14日、特定秘密の保護に関する法律(以下秘密保護法という)の施行令(以下施行令という)及び特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(以下運用基準という)が閣議決定された。
   当会は、「政府の持つ情報は、基本的に国民の財産であるから、可能な限り開示されるべきであり、国民は豊富で正確な情報にアクセスできて初めて国の在り方や政府の方針について正しい判断ができる。ところが、秘密保護法は全く逆の立場をとって国民から多くの情報を隠蔽しようとするものであって、国民主権原理に反するものであるばかりでなく、基本的人権を侵害し、恒久平和主義をないがしろにするものである」として繰り返し会長声明や意見書で容認できないことを表明し、秘密保護法の廃止を求めてきたところである。
   今回閣議決定された施行令、運用基準は、情報保全諮問会議が作成した素案に対し、2万3820件ものパブリックコメントが寄せられたにもかかわらず、運用基準の一部を除き、ほとんど素案と変わらないものである。こうした国民の多数のパブリックコメントを無視した姿勢にも、国民主権原理に反する秘密保護法(施行令、運用基準含む)の内実が表れている。
   当会は、2013年12月10日付会長声明により、秘密保護法と集団的自衛権の容認・行使との関連に対し危惧を述べたが、今回の運用基準の閣議決定により、その危惧が一層明らかとなり、集団的自衛権行使が、国民のあずかり知らないところで決定、行使される恐れが現実のものとなった。すなわち、2014年7月1日の閣議決定によると、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力行使が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」には武力行使が許されることとなるが、今回閣議決定された運用基準によると、秘密指定されうる事項として、「(別表1号防衛に関し)自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究のうち、b(略)アメリカ合衆国の軍隊との運用協力に関するもの」が明記されたほか、「(別表2号外交に関し)外国の政府等との交渉又は協力の方針又は内容のうち、a国民の生命及び身体の保護、c海洋、上空等における権益の確保、d国際社会の平和と安全の確保(我が国及び国民の安全に重大な影響を与えるものに限る、以上運用基準6頁)」、「(別表4号テロ対策に関し)テロリズムの防止に関し収集した国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報又は外国の政府若しくは国際機関からの情報」が明記されている。このように、武力行使の要件に該当するかどうかの基本的な情報が秘密指定され、国民や国民の代表である国会に何ら明らかにされないまま、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」として武力行使が決定・行使されてしまう危険がまさに現実のものとなりかねない。
   当会は、このような秘密保護法(施行令、運用基準含む)を即刻廃止するよう強く求める。

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