東京弁護士会

商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明

2015年01月28日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

 経済産業省及び農林水産省は、2015(平成27)年1月23日、商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令(以下「本省令」という。)を定めた。
 本会は、2014(平成26)年4月5日付けで公表及び意見募集がなされた商品先物取引法施行規則に対し、同月22日付け会長声明及び同月25日付け意見(パブリックコメント)において、これに反対する意見を表明してきた。
 本省令は当初の公表案を若干修正し、同規則第102条の2を改正して、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に、顧客が65歳未満で一定の年収又は資産を有する者について、顧客の理解度を確認するなどの要件を満たした場合を例外とする規定を盛り込んだものである。
 しかし、上記の要件を満たすかどうかの顧客の適合性の確認は勧誘行為の一環としてなされるものであるから、本省令は、商品先物取引契約の締結を目的とする勧誘を不招請で行うことを無制約に許容するものであって、事実上不招請勧誘を全面的に解禁するに等しいものである。
 また、委託者に年収や資産の確認の方法として申告書面を差し入れさせたり、書面による問題に回答させて理解度確認を行う等の手法は、いずれも、現在多くの商品先物取引業者が事実上採っているところであり、その中で業者が委託者を誘導して事実と異なる申告をさせたり、正答を教授するなどの行為が蔓延し、深刻な被害が生じていることからすると、これらの手法が委託者保護のために機能するものとは評価できない。
 したがって、商品先物取引法第214条第9号は、「委託者等の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのない行為として主務省令で定める行為を除く」として、不招請勧誘の禁止に関する省令による除外事由について、「委託者等の保護に欠けないこと」、「取引の公正を害するおそれのない行為であること」という一定の枠をはめているところ、本省令は、透明かつ公正な市場を育成し委託者保護を図るという趣旨に適合せず、同法の委任の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。
 そもそも、不招請勧誘の禁止規定は、商品先物取引の勧誘による深刻な被害が長年にわたり発生し続け、業者に対する他の行為規制では沈静化しなかったことから、2011(平成23)年1月施行の商品先物取引法で導入されたという経緯があり、不招請勧誘の禁止規定施行後は、禁止規定を潜脱した勧誘行為は見られるものの、被害件数は全体として減少傾向にあり、不招請勧誘の禁止が消費者被害防止の有効な手段として機能しているといえる。
 それにもかかわらず、本省令により不招請勧誘禁止の除外事由を大幅に緩和すれば、再び被害が多発することになることは明らかであり、消費者保護の観点から許容することができず、本会はこれに強く抗議する。

以上

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