東京弁護士会

「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案」及び「特定破産法人 の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案」について

1999年12月02日

東京弁護士会 会長 飯塚 孝

「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案」(以下「団体規制法案」という)及び「特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案」が衆議院を通過し、現在参議院で審議中である。
団体規制法案が定める「観察処分」や「再発防止処分」は、当該団体の活動を不可能にするような極めて強力な法的規制であるにもかかわらず、破防法が定める弁明手 続すら一切省略するなど適正手続を保障した憲法31条に照らし問題である。また、 観察処分に際して、公安調査官に土地・建物への立ち入り、設備・帳簿書類等の検査 権限を認め、立ち入り検査拒否罪すら設けているが、これは、裁判所による司法的 チェックを受けることなく強制処分を認める点で、令状主義を定める憲法35条違 反の疑いも否定できない。このように団体規制法案は憲法違反の疑いのある問題の 多い法案といわざるをえない。
団体規制法案については、5年ごとに廃止を含めて見直すという見直し規定が新設 され、適用対象についても、「例えはサリンを使用するなど」して、過去10年以 上前に無差別大量殺人が行われたものは除外する等の修正が加えられた。しかし、 この修正によって法案の持つ憲法違反の疑いが払拭されたということはできない。 また、「特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案」は、 破産宣告後の新得財産は破産財団に帰属しないという破産法の大原則に例外を設け、 前記団体規制法による「観察処分」を受けた特定破産法人について、当該役職員及 び構成員等の特別関係者の有する財産が特別破産法人から法律上の原因なく得た財 産の処分に基づいて得た財産であると推定することにより、当該特別関係者に立証 責任を負担させようとするものである。その適用いかんでは、当該構成員等の生活 の本拠や財産が奪われる危険性も十分にあり、その更生の機会を剥奪するばかりか、 生活そのものを破壊することになりかねず、財産権を保障した憲法29条に違反す るおそれがあるといわざるをえない。また、この法案は、特定破産法人が活動を継 続している限り永久に破産手続が終わらないという異常な事態すら惹起させるもの である。
当会は、憲法違反の疑いのある上記2法案の成立に強く反対するとともに、参議院 において、十分に時間をかけ徹底した審議がなされるよう強く求めるものである。

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