東京弁護士会

特定複合観光施設区域整備法案(いわゆるカジノ解禁実施法案)に反対し、廃案を求める会長声明

2018年06月20日

東京弁護士会 会長 安井 規雄

2018年6月19日、特定複合観光施設区域整備法案(いわゆるカジノ解禁実施法案)が衆議院で可決された。同法案は、2016年12月15日に成立した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(いわゆるカジノ解禁推進法)に基づき、カジノを解禁しようとするものである。
当会は、これまで、一貫して、カジノ解禁に反対してきた(2014年11月10日付意見書、2016年12月5日付会長声明)。
カジノ施設におけるスロットマシンやテーブルゲームは、ゲームの速度や頻度の多さから、賭け金も無秩序に高額なものになりがちである。カジノ解禁実施法案は、入場回数制限を7日間で3回、28日間で10回までとし、入場料を6000円とするが、24時間営業のギャンブル施設に連続して3日、最大72時間も居続けることができ、賭け金額の規制も行われないというのでは、ギャンブル依存症の発症率は相当に高くなることが懸念される。
さらに、カジノ解禁実施法案では、一定の金額を預け入れた顧客に対しては、カジノ事業者から資金の貸付を行うことが想定されている(特定資金貸付業務)。その一定の金額がいくらであるかは、現時点では不明であり、後に「カジノ管理委員会規則で定める」ものとされる。この貸付には、年収の3分の1を超える貸付を禁止する貸金業法の総量規制が適用されることもない。カジノの賭け金を捻出するための借入が可能となれば、ギャンブル依存症を誘発する危険性は高い。
カジノ解禁実施法案は、日本で初めて民間賭博を公認し、民間事業者が、営利の目的でギャンブル事業を営み、顧客の負けを事業者の利益とすることを認めるものである。カジノ事業者は、カジノ行為粗利益の3割の納付金を義務づけられるとはいえ、その余の収益の使途は、制限されない。これまで、特別法により公営ギャンブルの違法性を阻却する際には、「目的の公益性(収益の使途を公益性のあるものに限ることも含む)」や「運営主体等の性格(官又はそれに準じる団体に限るなど)」等が考慮要素とされ、そのために民間賭博が認められることはなかった。今ここで、カジノを解禁することは、法秩序全体の整合性を著しく損なう。
昨年8月に実施された意見募集(パブリックコメント)でも、1234名から提出された意見のうちカジノ解禁に反対するという意見が829件もあり、各種世論調査でも、カジノ解禁に反対あるいは慎重とする意見が賛成意見を圧倒している。
以上より、当会は、カジノ解禁実施法案に強く反対し、廃案を求めるものである。

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