東京弁護士会

憲法記念日にあたっての会長談話

2019年05月03日

東京弁護士会 会長 篠塚 力

1 国内外の多くの人々に苦難を強いた戦争が終結して70余年,この間,我が国は,戦争の当事国になることもなく,平和を享受することができました。
 もちろん,世界各地での戦争の犠牲や被害は今もなお完全に解消されたわけではありませんし,とりわけ沖縄の基地負担については住民の意思を尊重するとともに,私たち全ての国民が向き合うべき問題であると考えます。
2 日本国憲法は個人の尊厳を根本的な価値として,個人の自由や平等を保障していますが,近年は社会的少数者の権利の保障,性による差別の是正などの問題について,少しずつではありますが憲法の理念が浸透しつつあります。
 特に,遅きに失したとはいえ,ハンセン病患者に対する隔離政策や旧優生保護法による障害者らに対する強制不妊手術の不当な権利侵害が是正されつつあることは,大きな一歩と言えるでしょう。
 また,子どもの貧困や虐待,性や婚姻等における選択の自由や多様性の保障の問題などを含め,今なお回復されていない権利侵害の救済や自由の実現において,憲法は最後のよりどころとなっています。
 さらに,本年4月の改正入管法の施行などにより,今後,日本社会はますます多様な人種的・民族的背景を持つ人々を受け入れることになりますが,憲法はすべての人が個人として尊重されることを求めており,多様性と共存という価値をより高める必要があります。
3 他方,近年,私たち東京弁護士会が反対してきた特定秘密保護法,安全保障関連法,共謀罪法などの憲法の基本原理を損なう法制度も成立しました。これらの法制度に対しては,憲法が保障する知る権利を害しないか,恒久平和主義に反しないか,内心の自由や表現の自由を害しないかなどについて,私たちは不断の努力によって問い続けなければなりません。
 さらに,憲法改正問題については,私たち東京弁護士会は,本年2月12日に,いわゆる9条の2改憲案の問題点を指摘し国会に熟議を求める意見書を出しました。
4 72回目の憲法記念日を迎える今,私たち東京弁護士会は,憲法の理念を生かし,人権の守り手として,これからもみなさまの信頼を得られるような活動を続けてまいります。

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