東京弁護士会

外国人の収容に係る運用を抜本的に改善し、不必要な収容を直ちにやめることを求める会長声明

2019年07月01日

東京弁護士会 会長 篠塚 力

去る6月24日、大村入国管理センター(長崎県大村市)で、収容中の40代のナイジェリア国籍の男性が死亡する事件(以下「本件」という。)が起きた。
報道によれば、死亡した男性は、長期収容に抗議してハンガーストライキをしていたという。
2018(平成30)年2月28日付け法務省入国管理局長指示は、「仮放免を許可することが適当とは認められない者」として8つの類型を挙げ、「送還の見込みが立たない者であっても収容に耐え難い傷病者でない限り、原則、送還が可能となるまで収容を継続し送還に努める。」としている。さらに同指示は、そのうち4つの類型(重大犯罪で罰せられた者、犯罪の常習性が認められる者、社会生活適応困難者(DV加害者や社会規範を守れずトラブルが見込まれる者など)、悪質な偽装滞在・不法入国等の関与者など)については「重度の傷病等、よほどの事情がない限り、収容を継続する。」としている。
しかし、入管収容の本来の目的は強制送還を円滑に行うために逃亡を防止することであり、それに限られる。逃亡のおそれが認められない者に対する収容や、強制送還がそもそも不可能な状態にある者の収容は、法律の目的外の収容であって、許されるべきではない。上記指示は法律の趣旨を逸脱するものである。 
近時の濫用とも言える収容と、収容期間の長期化は極めて深刻である。
本件がハンガーストライキに端を発するとすれば、見通しの立たない長期収容という行政の運用によって、収容者を追い詰め、死に至らしめるまでになったということである。
振り返って2018(平成30)年4月13日には、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)において、仮放免申請が不許可になり長期間にわたる収容を悲観したとみられるインド国籍の男性が自殺する事件が発生した。これを受けて当会は同月25日、入国者収容所等視察委員会による原因の調査と送還の予定されていない被収容者の速やかな解放を求めた。
また、本年4月18日にも、入管収容施設で繰り返される被収容者の生命・健康の軽視や死亡事件に抗議し、適時適切な医療の提供及び仮放免の適切な運用を求めたが、その矢先に起きてしまったのが本件である。
本件について、入国者収容所等視察委員会による、証拠(監視カメラの映像、診療記録、動静日誌等)の保全も含めた厳正な調査が行われるべきことはもちろんである。
しかしながら、人命が失われる悲痛な事件を受けても一向に事態が改善しない理由は、収容に係る法律の趣旨を逸脱した誤った運用にある。出入国在留管理庁は上記指示を直ちに撤回するべきである。
そして、外国人の収容に係る運用を抜本的に改善し、不必要な収容を直ちにやめるべきである。

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