東京弁護士会

国選弁護人の報酬引下げに反対し、大幅な増額を求める会長声明

2003年03月06日

東京弁護士会 会長 伊礼 勇吉

国選弁護人の報酬額は、2000年(平成12年)度から地方裁判所における標準的事件(3回廷)について、金86,400円とされ、その後2年間据え置かれている。ところが本年度の政府予算案ではあろうことかこれを金85,600円に引き下げられた。
刑事弁護の実情として、国選弁護人が選任される比率は極めて高く(昨年1月から9月までの東京地裁では76パーセント)、わが国の刑事裁判は国選弁護人の犠牲と負担によって維持されているといっても過言ではない。今後もこの傾向は続くものと考えられる。
このような実態に基づくと国選弁護制度は、刑事被告人の憲法上の権利である弁護人依頼権を実質的に保障する制度として機能していると言わなければならない。したがって、被告人が資格を有する弁護人による十分な弁護活動を受けるためには、国選弁護人の活動を経済的に担保する必要がある。国選弁護人に適正かつ十分な報酬が支払われることは、憲法上の要請であると言っても過言ではない。
しかるに、国選弁護人の報酬は、私選弁護人と弁護活動の内容に何ら相違がないにもかかわらず、低額に抑えられてきた。しかも、記録謄写料、交通費などの実費も原則として支給されず、国選弁護人の負(以上弁護士3名)担となっている実情である。
2003年(平成15年)度政府予算案で示された国選弁護人の報酬引下げは、被告人に対する十分な弁護活動を抑制し、ひいては被告人の弁護人選任権を侵害するものといわざるを得ない。
よって、当会は、この度の政府予算案における国選弁護人報酬の引下げに強く抗議するとともに、国選弁護人報酬の大幅な増額のために必要な予算措置を講じるよう強く求めるものである。

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