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新年のご挨拶~ミネルヴァの梟は多様性を求める

2022年01月05日

東京弁護士会 会長 矢吹 公敏

 皆様,新年あけましておめでとうございます。

 本年度も,昨年度に引き続きわが国を含む世界が新型コロナウイルス禍の対応をしながら会務を行っています。弁護士会の活動も変容しました。総会や会員集会の会場の感染予防対策が実施され,委員会など多くの会議がウェブ会議で行われました。昨年度,最初の緊急事態宣言が出た頃には,会館の窓口業務の休止・縮小を余儀なくされ,市民の方々の弁護士会へのアクセスが制限された状況も続きました。会員の業務にも多大な影響が生じたと思います。依頼件数や法律相談件数の減少など業務への影響,ウェブ会議への対応や事務所の感染予防対策など,これまで経験したことのない状況が続いたのではないでしょうか。その状況はワクチン接種が進み感染者数も急減した現在においても変わりがなく,今も会員の皆様に感染予防対策をとっていただきながら会務を運営しています。

 哲学者のヘーゲルが「ミネルヴァの梟は黄昏に羽ばたく」と述べています。ミネルヴァはローマ神話における英知や知恵の女神であると言われています。ヘーゲルの言葉は,全てを認識した後に知恵の象徴である梟が飛び立つのだとも言われていますが,私は夕暮れのこれから闇夜になるときに解を求めてミネルヴァが梟を飛ばすのだと解釈しています。

 今まで想定していなかった様々なことが起きる時代にあって,東京弁護士会がどのような道を歩むのか岐路にあるのではないかと思わざるをえません。その解を求めて本年度の理事者も一歩一歩手探りをしながら前進している状態です。

 その中でも先に述べたウィズコロナの状況でいかに会務を継続し,会員へのサービスや市民の司法アクセスを継続するかが第1の課題です。次に財政改革です。全会員の会費2000円減額を達成するため,現在誠心誠意努力しております。第3に,東京弁護士会の多様性を生かすことです。東京弁護士会の会員数も9000人近くとなり,若手,中堅,シニアのように年代の異なる会員,ジェンダーを異にする会員(トランスジェンダーの方を含む),LGBTQと言われる会員や,地域司法を担っている会員がおられます。また,組織内の弁護士になっている会員は会員数の約1割に上っています。このような会員の多様性を受容して,それぞれの会員に寄り添う東京弁護士会である必要があります。

 当会では,2019年4月から,全国の弁護士会で初めて,同性パートナーをもつ職員について,慶弔休暇,育児休暇,介護休暇等の休暇制度や扶養家族手当,住宅手当,慶弔金等の各種手当に関する規定が適用されるようにし,新聞等各メディアで報道されました。2020年1月から,同性パートナーをもつ会員について,異性パートナーの場合と同様,会費免除・会務活動の免除・弔慰金・災害補償等の福利厚生を受けることができるように規則改正等を行いました。また,毎月2回,市民向けに「セクシュアル・マイノリティ無料電話相談」を行っています。こうした活動が評価され,東京弁護士会は,職場における性的少数者への取り組みの評価指標である「PRIDE指標」において,2019年から3年連続で最高評価の「ゴールド」を受賞し,「レインボー」認定も本年度初めて受賞することができました。

 そのような視点に立って,本年度の理事者は年度の初めに本年度の会務執行方針を会員の皆様にお示ししました。具体的な内容はその中に記載されていますが,私見に基づいて言うのも憚れますが,その内8割以上は実施をしてきたのではないかと考えています。残り3ヶ月,その実現に向けて努力をしたいと思いますし,もしそれが実現しない場合には次年度に引き継いでいきます。

 私共の任期の最後までご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。