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死刑執行に強く抗議し、死刑執行の停止を求める会長声明

2021年12月22日

東京弁護士会 会長 矢吹 公敏

昨日、3名の死刑が執行された。執行された者の中には、再審請求中の者も含まれている。

当会は、2020年9月24日の臨時総会において、死刑制度に関する規定が削除されるまでの間、死刑執行は停止されるべきであり、死刑廃止と併せ、死刑に代わる刑罰として仮釈放のない終身刑の導入を検討すべきであると決議した(死刑制度廃止に向け、まずは死刑執行停止を求める決議)。
日弁連も2016年の福井市における人権擁護大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言案」を採択し、刑罰制度の改革、受刑者の再犯防止・社会復帰のための法制度の改正と共に、死刑制度の廃止を目指す旨宣言し、死刑廃止に向け大きく舵を切っている。
今回の死刑執行は、極めて遺憾である。

死刑は、人間の生命を国家が奪うという行為であり、人権保障の点から根本的な問題を有している。
死刑の廃止又は執行の停止は既に国際的潮流となっており、OECD加盟国の中で死刑執行を国家として維持しているのは日本だけであり、日本は非人道的な国であると国際的な非難を受けている。
さらに、死刑は誤判の場合には取り返しのつかない刑罰であるという問題点を内包している。現に日本では、死刑を宣告されながら、後に無罪であることが判明した著名な死刑再審4事件が過去に存在したほか、近年に至っても、静岡地方裁判所は袴田巖氏の第二次再審請求事件について、再審を開始し、死刑及び拘置の執行を停止する決定をしている。

当会は、犯罪被害者の救済制度のさらなる充実を求めるとともに、昨日の死刑執行について強く抗議し、改めて、死刑制度を廃止するための立法措置を講じ、死刑制度が廃止されるまでの間全ての死刑の執行を停止することを求める。

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