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最低賃金額の大幅な引き上げを求める会長声明

2022年07月26日

東京弁護士会 会長 伊井 和彦

東京都の現在における最低賃金額は1041円である。2019年は1013円であり、2020年は据え置かれ、2021年10月1日に引き上げられたものであるが、引き上げ額はわずか28円に過ぎなかった。また、この賃金で1日8時間、1か月21日労働しても、月収17万4888円に過ぎず、年収約210万円にしかならない。
総務省統計局が2022年5月10日に発表した家計調査・家計収支編では、2021年の大都市・単身世帯の月額消費支出額は15万9743円であり、最低賃金ではとても余裕のある生活はできず、仕事を失い収入が断たれれば直ちに生活に窮する事態に陥る。また、扶養家族を養うことはできず、結婚や出産をあきらめなければならない。
非正規労働者の多くは最低賃金付近の賃金で働いており、経済的に余裕のない生活をしているのに加えて、コロナ禍においては不安定雇用による失業の不安にも直面している。
最低賃金はセーフティーネットとしての機能を有しており、「労働者の生計費」を考慮して定められなければならないのである。すべての労働者に安定した生活を保障するには最低賃金の大幅な引き上げが必要である。
また、最低賃金額の大幅な引き上げにより中小企業の経営に与える影響については、各種補助金の拡充等の中小企業の生産性向上のためのきめ細かい支援策を行うべきである。
以上のとおり、当会は、最低賃金額を大幅に引き上げることを求めるとともに、最低賃金額の引き上げによって経営に影響を受ける中小企業への支援策の実施を求めるものである。

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