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最低賃金額の大幅な引き上げを求める会長声明

2023年07月03日

東京弁護士会 会長 松田 純一

長引くコロナ禍の影響、ロシアのウクライナ侵攻などによって生じたエネルギーや日用品等の価格高騰で、国民とりわけ低所得者は、多大な影響を受け、都内で食料配布を行っている民間団体によれば、リーマンショック時を上回る人数の行列ができているとのことである。
東京都の最低賃金は、現在時給1072円である。この賃金で1日8時間、月22日間フルタイムで働いても月収18万8672円であり、年収は226万4064円に過ぎない。
総務省が2023年1月31日に発表した労働力調査によれば、2022年の役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.9%である。とりわけ女性では約53%が非正規の職員・従業員である。
非正規労働者の多くは、最低賃金をわずかに上回る賃金で生活しており、最低賃金を引き上げることは、非正規労働者の生活水準を引き上げることにつながる。このような情勢であるからこそ、最低賃金の大幅な引き上げが何よりも求められている。
また、最低賃金引き上げのためには、中小企業や個人事業主への抜本的な支援が求められる。中小企業等に対しては、支援効果の小さい法人税や所得税の減税制度だけでなく、負担が重いとされる社会保険料の事業主負担部分を免除・軽減することなどの支援も検討されるべきである。
当会は、審議を行う中央最低賃金審議会、東京地方最低賃金審議会及び最低賃金を決定する東京労働局長に対し、物価高によって多大な影響を受けている労働者に健康で文化的な生活を保障するため最低賃金額を大幅に引き上げることを求めるとともに、政府に対し大幅な引き上げに対応した中小企業等への効果的な支援策の策定・実施を求めるものである。

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