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8月15日を迎えるにあたっての会長談話

2024年08月15日

東京弁護士会 会長 上田 智司

今年も8月15日を迎えました。本日は、79回目の「終戦」の日です。 東京弁護士会は、アジア・太平洋戦争及び第二次世界大戦により亡くなられた犠牲者を悼むとともに、世界の恒久平和の実現に向けて努力していくことをここに誓います。

この戦争は、多くの人々の命を奪い、心身に深い傷を残し、生活を破壊しました。それらの人々の中には、日本人のみならず、アジア・太平洋諸国を中心とした、戦闘員だけでなく非戦闘員の方々が含まれています。このような事実に思いをいたすとき、戦争の悲惨さと平和の尊さを痛感するとともに、歴史から学ぶことの重要性を改めて強く認識します。

戦後生まれた日本国憲法は、個人の尊厳・基本的人権の尊重に最大の価値を置いています。また、日本国憲法は徹底した平和主義に立ち、前文で全世界の国民による平和的生存権を宣言すると共に、9条において戦争を放棄しています。個人が自由を享受し、いきいきと生きるためには、平和が維持されていることが不可欠だからです。

現在、世界に目を向ければ、各地で紛争やテロが続いています。ウクライナ情勢も依然として終結しておらず、中東やスーダンでも多くの民間人が犠牲となっています。核兵器の脅威も依然として深刻なままです。現在ほど、私たち一人ひとりが、日本国憲法が定める平和主義の理念を世界に広め、その実現に最善を尽くすことを求められる時はありません。我が国は、唯一の戦争被爆国であり、徹底した平和憲法を持つことから、平和を世界に広げることが期待されていると言えます。 しかしながら、近時、我が国は、解釈改憲と言える集団的自衛権の行使を容認する閣議決定や安保法制の制定、それに引き続く武力増強政策に向かっています。私たちは、このような流れの当否について、日本国憲法の徹底した平和主義の観点から、真剣に議論しなければなりません。

8月15日を、戦争の悲惨さを風化させず、平和への深い思いを新たにする日として、未来を担う若い世代に継承していくという決意のもと、東京弁護士会は、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現のため、そしてその不可欠の前提である平和な世界の実現に向けて、今後も全力を尽くしてまいります。

以上

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