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自衛隊のイラク派遣延長に反対する会長声明

2004年12月22日

東京弁護士会 会長 岩井 重一

政府は今月9日、臨時閣議を開き、イラク特措法に基づく基本計画で定めた自衛隊の派遣期間を、2005年12月14日まで1年間延長する旨決定した。
当会は、2003年7月26日、イラク特措法の成立にあたって、国際紛争を解決するための武力行使及び他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが強いことから、同法案に反対の意見を表明した。2003年12月9日には、サマワへの自衛隊派遣に対し、イラク全土が戦闘地域である状況から、非戦闘地域における措置というイラク特措法の前提を欠くとして反対の意見を表明した。
遺憾にも、政府はサマワに自衛隊を派遣したが、その後、イラクの治安はさらに悪化し、自衛隊の宿営地にロケット砲が打ち込まれる事態も発生しており、本年11月7日には、イラク暫定政府により北部クルド地区を除くイラク全土に非常事態宣言が出された。ファルージャを中心に多くの市民が犠牲となり、民間人が人質とされ、殺害される事態も生じており、反米武装勢力の幹部が自衛隊を占領軍とみなすとの声明を出したとの報道もなされている。
来年1月に予定された国民議会選挙に向けて、武装勢力の動きが活発化するとの指摘もあるとともに、宿営地のサマワの警備を担当するオランダ軍は来年3月に撤収が予定されている。
このような情勢下において、自衛隊が戦闘に巻き込まれて武力行使にいたる危険は格段に高くなっているにもかかわらず、政府がかかる状況認識に至らず、派遣延長を閣議決定したことは誠に遺憾といわざるを得ない。
当会は、政府が直ちに自衛隊派遣延長に関する閣議決定を改め、自衛隊を即時撤退するよう強く求めるものである。