Evianに集うG7首脳に宛てたG7弁護士会による公開書簡
2026年06月15日
東京弁護士会 会長 石原 修
東京弁護士会は、パリ弁護士会の呼びかけに応え、G7各国の10の弁護士会とともに、G7首脳に向けたオープンレターを発表しました。 日本語訳は以下のとおりです。
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G7 首脳各位
地政学的緊張が高まり、経済的競争が激化し、技術的変革が前例のない速度で社会を変容させている今日、G7諸国の弁護士会を代表する私どもは、私どもを結びつける一つの確信を再確認したいと存じます。すなわち、法こそが、私たち民主主義諸国における最も重要な共通の財産である、という確信です。
民主主義は、軍事力の強大さ、経済力の大きさ、又は技術革新の速さのみによって存続するものではありません。民主主義は、共有され、予見可能であり、かつ遵守される規範、すなわち法の支配に基礎を置いているがゆえに繁栄するのです。
司法の独立を保障し、基本的自由を保護し、経済取引を安定させ、市民の制度に対する信頼の基礎をなすものは、法の支配です。そして、この信頼は繁栄の原動力でもあります。信頼は、投資、イノベーション、起業及び取引を促進します。法は、私たちの社会を保護するだけではありません。法は、社会の発展を可能にする富の創出にも寄与するのです。
今、私たちは、これらの共有された規範なくして信頼は存在し得ないことを、改めて認識しなければなりません。今日、その信頼は、国際的緊張の高まり、協力のための仕組みの一部が疑問に付されていること、既存の法的枠組みをしばしば超える影響を及ぼす新技術の発展、そして国境を顧みない越境的脅威によって揺るがされています。こうした課題を前にして、原則を犠牲にして目先の実効性を優先しようとする誘惑は大きいものです。しかし、それは誤りです。
法は、贅沢品でもなければ、制約でもありません。法は、民主的安定と持続可能な経済発展の前提条件そのものです。法は、恣意を排して保護すること、自由を放棄することなくイノベーションを進めること、そして各国の主権を犠牲にすることなく協力することを可能にします。法は、国内外の経済取引に法的安定性を与え、外国投資を含む投資を保護し、契約の自由及び営業の自由を保障します。法はまた、私たち民主主義諸国が相違を抱えながらも共に行動するための共通言語でもあります。
以上の理由から、私たちはG7首脳に対し、法の支配を明確かつ具体的な政治的優先事項とすることを求めます。いかなる危機への対応であっても、正義、自由及び衡平の要請と完全に両立するものでなければなりません。同様に、現代の重大な脅威に対しては、私たちの民主主義の基盤をなす諸原則を尊重しつつこれに対処できるよう、国際協力を強化しなければなりません。
私たち弁護士は、日々そうしているように、この取組に貢献する用意があります。
弁護士は、市民の権利を日々擁護し、企業に寄り添い、基本的自由の尊重を確保する存在であるからこそ、信頼は命令によって生み出されるものではないことを知っています。信頼は、強固な制度、尊重される規範、そして独立した司法を通じて築かれるものです。
エヴィアンにおいて、皆様には、目先の利害を超えてG7民主主義諸国を結び付ける理念を再確認する機会があります。不確実性に満ちた世界において、法はなお、私たちの最も貴重な共通の財産です。法は私たちの自由を保護し、信頼を保障し、持続的な繁栄の条件を創出します。法を守りましょう。法を強化しましょう。法を私たちの行動の羅針盤としましょう。
署名者
ルイ・ドゥゴ、パリ弁護士会会長(フランス)
カースティ・ブライムロー KC、イングランド・ウェールズ法廷弁護士会評議会議長(英国)
マシュー・ディラー、ニューヨーク市弁護士会会長(米国)
マーク・エヴァンス、イングランド・ウェールズ法律協会会長(英国)
アレッサンドロ・グラツィアーニ、ローマ弁護士会会長(イタリア)
石原 修、東京弁護士会会長(日本)
アントニオ・ラ・ルミア、ミラノ弁護士会会長(イタリア)
サディナ・モンタニ、D.C.弁護士会会長(米国)
マルセル=オリヴィエ・ナドー、ケベック弁護士会会長(カナダ)
シュテファン・フォン・ラウマー、ドイツ弁護士協会会長(ドイツ)
ウルリッヒ・ヴェッセルス博士、ドイツ連邦弁護士会会長(ドイツ)
日本語訳:東京弁護士会国際委員会副委員長 瀧澤 渚
(原文)エヴィアンに集うG7首脳に宛てたG7弁護士会による公開書簡(PDF:166KB)
(日本語)エヴィアンに集うG7首脳に宛てたG7弁護士会による公開書簡(PDF:115KB)
(英語)エヴィアンに集うG7首脳に宛てたG7弁護士会による公開書簡(PDF:174KB)




