東京弁護士会

改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明

2009年09月29日

東京弁護士会 会長 山岸 憲司

 当会は、経済・生活苦による自殺者数が年間7000人を超え、自己破産申立件数も20万件を超える高水準で推移し(2004年度まで)、多重債務者が推定200万人を超えるなどの状況を踏まえて、2005年11月7日付「出資法の上限金利の引き下げ等を求める意見書」において、「現在でも多数生み出されている多重債務による被害をなくすためには、出資法上限金利は、例外なく、利息制限法の制限金利まで引き下げるべきである。」旨の意見を述べた。

 その後、2006年12月には改正貸金業法が成立し、出資法の上限金利の引下げ、収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを含む同法が、2010年6月19日までの政令で定める日に完全施行されることとなっている。この法改正は、当会の上記意見書の趣旨にも沿うものであり、当会としても高く評価するところである。

 また、改正貸金業法成立後、政府は多重債務者対策本部を設置し、同本部は、①多重債務相談窓口の拡充、②セーフティネット貸付の充実、③ヤミ金融の撲滅、④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。

 そして、官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果、多重債務者は大幅に減少し、2008年の自己破産者数も13万人を下回るなど、着実にその成果を上げつつある。

 にもかかわらず、現在、一部には、消費者金融の成約率が低下しており、借りたい人が借りられなくなっている。特に、昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより、貸金調達が制限された中小事業者の倒産が増加しているなどを殊更強調して、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調がある。

 しかしながら、上記のような資金需要に対しては、高利の貸金業者による融資ではなく、セーフティネット貸付の充実等により対応すべきものである。改正貸金業法の完全施行の先延ばし、金利規制などの貸金業者に対する規制の緩和は、再び自殺者や自己破産者、多重債務者の急増を招きかねず、法改正前のような深刻な多重債務問題を再燃させるおそれがあり、決して許されるものではない。

 今、多重債務問題の解決のために必要とされる施策は、多重債務者対策本部も課題とする相談体制の拡充、セーフティネット貸付の充実、ヤミ金融の撲滅などである。

 そこで、当会は、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める一部の論調に対し強く反対するとともに、国及び地方公共団体に対し以下の各事項を求める。

1.改正貸金業法を早期(遅くとも本年12月まで)に完全施行すること。
2.地方自治体での多重債務相談体制の整備のため、相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
3.個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
4.ヤミ金融を徹底的に摘発すること。

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