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国旗国歌強制問題に関する最高裁判決に対する会長声明

2012年01月18日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

本年1月16日,最高裁判所第一小法廷は,都立高等学校及び都立養護学校の教職員らが,卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること等を命ずる校長の職務命令に従わなかったことを理由としてなされた懲戒処分についてその取消し等を求めた3件の同種事案に関し,1人の停職処分と1人の減給処分を取り消す一方で,その余の懲戒処分を全て是認した。

各判決の多数意見は,「不起立行為等に対する懲戒において戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」と判示し,懲戒処分の累積加重による国歌斉唱等の強制に歯止めをかけたものとして,評価できる。

しかし,多数意見は,前記職務命令につき,憲法19条の保障する思想・良心の自由に抵触するものでないことは明らかであるとしたうえ,多くの教職員らになされた戒告処分について,学校の規律や秩序の保持等の見地からその相当性が基礎づけられるものであって将来の昇給等への影響等を勘案しても基本的に懲戒権者の裁量権の範囲内に属する事柄であり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるとは解しがたいとし,その処分を是認した。かかる判断は,憲法が思想・良心の自由を保障している趣旨を完全に等閑視した誤った判断であるといわざるを得ない。
 
この点,宮川光治裁判官は,職務命令に従わなかったのは,「君が代」や「日の丸」が過去の我が国において果たした役割にかかわる教職員らの歴史観ないし世界観及び教育上の信念に基づくものだとした原審の認定を引いたうえ,「そのように真摯なものである場合は,その行為は第1審原告らの思想及び良心の核心の表出であるか少なくともこれに密接に関連しているとみることができ(中略)本件職務命令はいわゆる厳格な基準による憲法審査の対象となり,その結果,憲法19条に違反する可能性がある」と唯一の反対意見を述べているが,これは当会がこれまで表明してきた見解に合致するものである。

同裁判官は,「教員には,幅広い知識と教養,真理を求め,個人の価値を尊重する姿勢,創造性を希求する自律的精神の持ち主であること等が求められるのであり,(教育基本法2条で定められた)教育の目標を考慮すると,教員における精神の自由は,取り分けて尊重されなければならない」とも述べており,これは,自己の信念に基づいて職務にあたる現場の教職員らを勇気づけるものとして評価できる。

大阪市では現在,大阪府についで,公立校の教職員に君が代の起立斉唱を義務づける条例の制定が検討されており,しかも,職務命令違反を一定の回数繰り返すと機械的に重い処分が科せられることが予定されているという。
しかし,このような規制は,上記最高裁判決多数意見の趣旨にさえ反するものであって,教職員の思想・良心の自由を侵害するのみならず,児童生徒にも心理的強制を加えその思想・良心の自由の侵害につながるものといわざるをえず,到底是認できない。

当会はこれまで,「『国旗・国歌実施指針』に基づく教職員処分等に関する意見書」(2004年9月7日),会長声明(2006年9月28日2011年3月14日及び同年6月14日)などで,繰り返し,教職員らの思想・良心の自由に対する制約を行わないよう求めてきた。

これからも,都及び都教育委員会だけでなく,いかなる自治体及び教育委員会に対しても,国旗国歌を強制する職務命令への違反を理由として教職員に懲戒処分等の不利益取扱いをしないよう要請していく所存である。

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