6月20日「世界難民の日」を迎えるにあたっての会長談話
2026年06月19日
東京弁護士会 会長 石原 修
明日、6月20日は「世界難民の日」です。この日は、元々アフリカ統一機構難民条約の発効を記念する「アフリカ難民の日」でしたが、世界中で難民問題への関心を高める目的で、2000年12月4日の国際連合総会で、毎年6月20日を国際的な「世界難民の日」とすることが決議されました。
「難民」とは、人種、宗教、国籍、政治的意見、または特定の社会集団に属することを理由に迫害を受けるおそれがあるという恐怖を有するため、自国を追われた人のことをいいます(難民条約第1条A(2))。自ら望んで自国を離れての生活を選択した「移民」の人とは異なり、生きるためにやむなく自国を離れざるを得なかった難民の方々の生活は、極めて不安定です。
2025年末の時点で、世界には紛争や迫害によって故郷を追われた人々が1億1780万人いるとされ、たくさんの人々が住み慣れた土地や家族を失い、将来に対する希望も持てずにいます。そのうち自国に残ることすら出来なかった難民の方々は4160万人に上るとされており、このような人々に必要な保護を与えることは、日本も批准している難民条約上の義務とされています。
しかし、日本の2025年の難民認定率は、難民認定申請者数11,298人に対して187人と、およそ1.65%でした。諸外国と同じ難民条約上の難民該当性を判断しているにも関わらず、これは2024年の難民認定率が70.0%のカナダ、57.7%のアメリカ、42.4%のイギリスなどと比較しても、桁違いどころではない差です。この格差は、日本政府が、難民条約の要件の一つである「迫害を受けるおそれ」について、迫害を受ける人が迫害主体から個別的に把握されていることを要すると極端に狭く解釈している実情などから生じたものです(「ウクライナ避難民保護を名目とする入管法改定案の再提出に反対する会長声明」(2022年6月2日付))。
このような日本における難民認定制度の運用に対し、当会は、これまで、「政府提出の入管法改定案の強行採決に反対し、廃案を求める会長声明」(2023年6月8日付)をはじめとした会長声明及び意見書などを通じたメッセージの発信、「世界難民の日」に合わせて関東弁護士会連合会が実施している無料法律相談会の共催、難民申請中の方々の実情について参加者と共に考えるシンポジウムの実施、特定非営利法人国連UNHCR協会との協定書の締結など、難民の方々の基本的人権を擁護するため様々な観点から積極的な活動を続けてきました。
しかしながら、入管法改定により3回目以上の難民認定申請者を強制的に送還できる制度になって以降、昨年はいわゆる「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」が実行され、本年5月にはその「強化推進パッケージ」が公表され、さらには難民認定申請者において数ヶ月毎に支払う必要のある在留資格更新手数料の上限が大幅に引き上げられるなど、著しく低い難民認定率はそのままに、難民申請者の置かれた状況は厳しさを増しています。
これに対して適切な声を挙げていくことこそ、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の職責であり、先日も「在留審査手数料の値上げ等に関する出入国管理及び難民認定法改定に反対すると共に慎重な審議を求める会長声明」(2026年5月26日付)を発信しました。このような厳しい情勢だからこそ、「世界難民の日」をきっかけに、1人でも多くの方が、共に社会で暮らす難民や難民認定申請者の方々の声に耳を傾け、その厳しい境遇に思いを馳せ、歩み寄っていただければと思います。
当会は、今後も、難民の方々に寄り添い、適切な法的保護が与えられるべく、難民認定制度の改善に向けた活動を続けていきます。
印刷用PDFはこちら(PDF:96KB)




