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手続の終了-和解・仲裁判断の効力・影響についての質問

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18. 和解が成立したとき、和解が不成立のときはどうするの?

「和解」が成立したときは、当事者が和解契約書に記名、押印し、あっせん人が証人として署名押印して和解契約書を作成します。1通は当センターが保管し、両当事者が各1通所持します。「和解」が不成立のときは、申立人があっせん申立取下げするか、当センターが申立を却下することにより手続が終了します。

19. 仲裁判断はどのようにするの?

仲裁人が、仲裁判断をするときは、「仲裁判断書」に理由を付して仲裁判断を記載し、仲裁人が署名押印をします。仲裁契約書の正本は仲裁センターが保管し、当事者には写しが送付されます。
あっせん手続から仲裁手続に移行して、和解合意を内容とする仲裁判断(仲裁決定)を求めることも可能ですが(Q20をご参照ください)、仲裁判断書の作成は同様です。
「仲裁」手続の仲裁判断は、仲裁人の終局判断が、確定判決と同じ効力を持つので(仲裁法45条1項。なお、執行には、別途執行決定を経る必要があります)、強制執行力があります。

20. あっせん手続で和解が成立したり、仲裁手続で仲裁判断が下されたときは、相手の財産への強制執行ができるの?(債務名義性)

他方、「あっせん」手続の和解は、当事者の私的な和解契約にすぎないので、仮に和解が成立しても、強制執行力ある債務名義にはなりません。(Q5をご参照ください)
しかし、あっせん手続でも、当事者間の争いが完全に決着する前に(解決の道筋が見えた段階で)、当事者の仲裁合意により仲裁手続に移行し、和解内容を仲裁判断の内容とする仲裁決定を得ることが可能です。この場合、結果的に和解内容について強制執行力ある債務名義を得たことになります。

21. 成立した和解や下された仲裁判断の内容に不服を申し出ることはできるの?

「あっせん」手続による和解は、私的な和解契約なので、成立した和解の効力を、後に当事者が争うことに特に制限はありません。しかし、「あっせん」の手続であっせん人が関与して双方当事者が十分に話し合いをした上でまとまった和解の効力が覆ることは滅多にありません。
他方、「仲裁」手続による仲裁判断には確定判決と同じ効力があるため、原則として、その効力を争うことはできませんが(仲裁法45条1項)、例外的に仲裁合意に瑕疵がある等一定の場合にはその効力も争うことが可能です(同条3項)。

22. あっせん・仲裁の手続で、時効を中断できるの?

当会の「あっせん」手続では、あっせん申立をしても時効中断の効果は認められません。しかし、一定の要件の下で、あっせんの申立は、裁判外の催告にあたる場合があります(民法153条)。なお、ADR法(裁判外紛争解決手続の利用促進に関する法律)に定められた認証を受けたADR機関の場合は、一定の要件の下であっせん申立に時効中断の効果が認められています。
他方、「仲裁」手続の場合、仲裁法により一定の要件の下で仲裁の手続に時効中断の効力が認められています(仲裁法29条)。

23. あっせん・仲裁手続をすると、離婚裁判の前に調停申立をしなくてすむの?

離婚事件や借地・借家の賃料増減請求事件の場合は、裁判の前に調停の申立をする必要があるため(調停前置)、あっせん・仲裁手続が不調の場合は、原則として、再度調停を申し立てる必要があります。   
しかし、裁判所の運用により、あっせん手続において当事者間の合意に向けた努力が尽くされたにも係わらず和解に至らなかったことを疎明すれば、調停前置を行ったと評価される場合があります。なお、時効中断効と同様、ADR法により認証を受けたADR機関の場合は、当然に調停前置の効力が認められます。