東京弁護士会

手続全般についての質問

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1. 「あっせん・仲裁」とは、何をしてくれるの?

「あっせん」とは、弁護士等のあっせん人が、あなたの抱える法律問題やトラブルを第三者の立場で聞いて、あなたと相手方との間の話し合いを取り持ち、和解による納得ずくの解決を目指す手続です。
当事者の合意があれば、手続の途中で次の「仲裁」手続に移行することもできます。
「仲裁」とは、あなたと相手方が、仲裁人の判断に従うという約束(仲裁合意)をしたうえで、あなたが申立をしたときに、仲裁人が双方の言い分をよく聞き、争点や事実関係を整理し、最終的に仲裁判断をして解決する手続です。仲裁判断は、確定判決と同じ効力を持ちます(Q20をご参照ください)。

2. あっせん人・仲裁人には、どんな人がなるの?

「あっせん人」とは、あっせん手続を進行する弁護士等(その他の専門家がなることもあります)のことで、「仲裁人」とは、仲裁手続を進行する弁護士等のことをいいます。共に、当事者は当センターが公開しているあっせん人・仲裁人名簿から選ぶことができます。
「あっせん人」・「仲裁人」(以下、「あっせん人ら」といいます)となるのは、弁護士経験7年以上の実務経験豊富な弁護士と専門的分野に優れた知見を持つ専門家です。
また、あっせん人を補佐する「あっせん人補」の制度もあります。

3. あっせん・仲裁の手続の流れを教えてください。

手続の流れは、概略次のとおりです。別表のフローチャートもあわせてご参照ください。

  • 申立書の作成と提出・申立手数料の支払い(Q10Q12をご参照ください)
  • あっせん人らの選任(Q13をご参照ください)
  • 期日の審理(Q17をご参照ください)
  • 事件の終了(和解の成立・不成立、または仲裁判断)(Q8Q18Q19をご参照ください)

4. 裁判とは、どう違うの?

主に、次のような違いが挙げられます。

  • 申立が簡単、柔軟
    裁判は、厳格な事実認定と厳格な法律の適用により判断を下すものですが、あっせん手続は、概括的な事実認定と概括的法適用を前提として、法律以外の歴史的経過、当事者の感情、正義感、公平感なども加味して当事者が納得する和解を導くものです。
    そのため、申立書の内容は、裁判のときに作成する訴状のような厳格な制約がなく、申立書を比較的簡単に作成できます。また、申立の対象も法律問題に限らず、話し合いで解決できる紛争・トラブルの全てが対象になります。
    つまり、あっせんの申立をするときは、裁判をするときとは異なり、自分の主張に法律的な根拠があるのかを厳密に検討する必要まではなく、柔軟な申立が可能になります。
    他方、仲裁手続の場合は、仲裁人が概ね法的判断を下すものなので、申立書の内容も裁判の訴状に近いものになります。
  • 期日の審理・進行が柔軟で便利
    申立の際、裁判のように、管轄の制限はありません。本人の出頭が困難な場合は、代理人を選任して代わりに出頭してもらったり、電話会議で審理することも可能です。
    また、期日の開催は、原則として、平日に弁護士会で行いますが、当事者の要望に応じて、土日に弁護士会以外の場所(あっせん人の事務所等)で開催することもできます。短期間に集中審理を行うことも可能です。
    建築紛争や交通事件等で、現地見分の必要があるときは、あっせん人らが機動的に現地を見分します。
  • 早い解決
    相手方が出頭した事件の約5割は、約3ヶ月、約3回弱の期日で和解により解決しています。これに対し、裁判の場合は、平均で約8ヶ月、約4・5回の期日がかかります。
  • 納得ずくの解決
    裁判で判決が出ると、0か100かで勝敗が決められてしまいますが、あっせんの場合は、請求額の3割プラス謝罪等、紛争の実態に即して当事者が納得しやすい解決が可能です。
  • 秘密裏の事件解決
    公開される裁判と異なり、あっせん仲裁手続の審理は公開されず、記録も、原則として当事者以外閲覧できません。
    さらに、あっせん人等には守秘義務が課されています。そのため、どんな事件でも秘密裏に解決を図ることができます。
  • あっせん人の選択・専門家の活用
    事件の解決に適した経験豊富で、紛争解決への熱意を持った「あっせん人」を選択することができます。また、当センターは、手続きに、助言者として専門家(建築士、不動産鑑定士、公認会計士等)を関与させることもできます。
  • リーズナブルな費用設定
    あっせん仲裁手続の申立費用は、請求額にかかわらず、一律11,000円(税込)と低額です。
    審理が始まると期日の都度、期日手数料が発生しますが、これも一当事者あたり5,500円(税込)です。
    さらに、和解が成立したときのみ、成立手数料が規定の割合で発生しますが(詳細はQ12をご参照ください)、話し合いが不調に終わった場合、成立手数料は一切発生しません。

5. 裁判と比べて弱い点はないの?

裁判と比べて手続の弱い点としては、次のことが指摘されますが、それぞれ、その解消のため工夫が図られています。

  • 強制執行力ある債務名義にならない
    「仲裁」手続の「仲裁判断」は、確定判決と同じ効力をもつので支障ありませんが、「あっせん」手続の「和解」は、当事者の私的和解契約にすぎないので、強制執行力のある債務名義にはなりません。
    →しかし、あっせん手続は、当事者が納得ずくで争いを解決するものなので、債権者は任意に履行することが期待されており、執行がなくとも実際の履行率は高いようです。
    また、後述(Q20をご参照ください)のとおり、当事者が「あっせん」手続の中で仲裁合意をして手続を「仲裁」手続に移行させ、そこで、和解内容を仲裁判断とする仲裁決定を得れば、和解内容を強制執行力のある債務名義とすることもできます。
  • 出頭の強制力がない
    当事者の任意の話し合いを基本とする「あっせん」手続では、裁判所の調停と同様、相手方に出頭義務はないので、出頭を強制することはできません。
    →しかし、相手方が出頭の要請に応じない場合でも、事務局やあっせん人が、熱意をもって中立の立場で相手方に出頭を促します。相手方があっせん手続に応諾する割合は約7割にのぼります。
    なお、「仲裁」手続では、一方当事者が出頭しなくとも仲裁判断が可能なので、支障はありません。
  • あっせん人らの中立性・公平性への不安
    あっせん手続が、通常は一方の依頼者の代理人として活動する弁護士によって進行されることについて、手続の中立性・公平性への不安を感じることがあるかもしれません。
    →しかし、あっせん人や仲裁人は、中立の立場で和解をあっせんし、仲裁にあたるべく制度設計がなされていますから、その心配は全く不要です。
    なお、あっせん人等が事件の利害関係人にあたるときは、除斥・忌避の制度が用意されており、利害関係のないあっせん人等が審理を行うことになります。

6. 裁判所でする司法調停との違いはあるの?

話し合いでの解決を目指し裁判所で行われる「調停」と当センターの「あっせん」との主な違いは、次の点です。

  • 柔軟性・迅速性
    あっせん仲裁手続には、裁判所を利用する際の管轄や請求するための法的根拠について制約がありません。また、進行役(あっせん人等)を選択できるほか、期日設定が柔軟で集中審理も可能です。
    このように、柔軟な審理によって、迅速、かつ、両当事者の納得する形でのウィンウィンの解決を探ります。
  • 出頭要請の働きかけ
    あっせん手続も裁判所における調停と同様、相手方に出頭義務がありませんが、事務局やあっせん人から熱意をもって出頭要請の説得をします。この説得の結果、相手方が翻意して出頭することも少なくありません。
  • 債務名義
    裁判所における調停手続の調停調書は、強制執行力ある債務名義になりますが、あっせん手続の和解契約書は私的契約にとどまり、債務名義にはなりません。しかし、和解契約の場合もあっせん手続の途中で仲裁合意をして、和解内容を仲裁判断とする仲裁決定を得ることによって、和解内容を強制執行力ある債務名義にすることができます(Q20を参照ください)。

以上のような「あっせん・仲裁」の特徴から、一定類型の事件では、あっせん仲裁手続が非常に有効な解決手段たり得ます(Q7をご参照ください)。

7. 「あっせん・仲裁」に適しているのはどんな事件?

あっせん仲裁手続の対象となる事件は、話し合いによる解決可能性のあるすべての事件です。現在、当センターでは、不法行為、契約違反による損害賠償、職場紛争、会社関係紛争、家事紛争、医療紛争、金融紛争等を多く取り扱っています。
あっせん仲裁手続の、専門家を活用でき、情報管理が徹底されているといった特性上、専門性や秘匿性の要求される、医療事件、金融事件、企業紛争、男女間や家庭内・職場内でのトラブル、相隣関係や企業秘密に関わる事件等の手続に親親しみ易いといえます。
裁判にしたくないけれども、第三者を交えた話し合いによって問題を解決したい場合には、あっせん仲裁手続の利用をご検討ください。
また、請求内容や金額による制限が一切ないため、法的請求としても構成しにくい事件や勝訴の見通しの立ちにくい事件等、裁判になじまない事件を解決できる可能性もあります。

8. 「あっせん・仲裁」手続は、どのくらいの割合で紛争を解決しているの?

当センターは、近年、毎年約100件前後の申立を受け、その解決にあたっています。
申立された事件のうち、約3分の2の事件について、相手方の出頭が確保されており、さらにその半数の事件(申立事件の3分の1)が当事者の和解によって解決しています。
和解成立案件については、早ければ、第1回期日で、平均でも申立から約92日間・3回弱の期日で和解に至っており、裁判等に比べかなり迅速な解決を期待できます。

9. 特殊な専門事件を「あっせん・仲裁」してもらうことはできるの?

基本的に、あらゆる事件を当センターで扱っていますが、特殊事件(医療事件・金融事件等については、次の制度も利用できます。

  • 医療ADR
    医療紛争については、東京の三つの弁護士会が協力して設営している「医療ADR」の制度もあります。受付は、各会の紛争解決センター(または、仲裁センター)窓口で行っています。
  • 金融ADR
    金融に関する紛争については、金融商品取引法等の改正により、2010年10月1日から、東京の三つの弁護士会が協力して設営している「金融ADR」制度がスタートしました。
    詳細はお問い合わせください。