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性の平等に関する委員会

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「結婚の自由をすべての人に」訴訟の現状と今後(2022年1月18日号)

弁護士 寺原真紀子(東京弁護士会性の平等に関する委員会委員)

当会は、すべての人がその個人の尊厳を等しく尊重される社会を実現すべく、2021年3月8日付「同性カップルが婚姻できるための民法改正を求める意見書」により、同性間の婚姻を認めるために民法を改正すべきとの意見を述べています。私は、この意見書に関与した委員であると共に、同性間の婚姻を求めて提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京弁護団共同代表でもあります。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、同性間の婚姻が認められていない現状が憲法違反であることを真正面から問う日本で初めての訴訟で、2019年2月14日のバレンタインデーに札幌・東京・名古屋・大阪で一斉に提起され、その後福岡も加わって、現在5つの地域で進行中です。昨年3月17日には、最も進行の早い札幌地裁において、「現在の状況は同性愛者に対する差別的な取扱いであり、平等原則を定める憲法14条1項に反する」旨の画期的な判決が下されました(その後、控訴により、札幌高裁に係属中)。

婚姻できないということは、婚姻に伴う様々な権利・利益・保護を享受できないという具体的な不利益を意味するだけでなく、国が同性間の婚姻を認めていないという事実それ自体が、「同性カップルないし性的マイノリティは、異性カップルないし性的マジョリティと同等に保護する必要のない存在である」という負のメッセージを、国が発し続けているのに等しいと言わざるを得ません。これによって、性的マイノリティの人々の個人の尊厳は日々傷つけられており、将来の家族像を思い描くことができないために生き悩んでいる人たちも少なくありません。同性間の婚姻が認められるか否かは、命に関わる問題です。

私自身は、割り当てられた性別に違和感を抱いていないシスジェンダーであり、かつ、性的指向が異性に対して向いている異性愛者ですが、同性間の婚姻が認められていないことを含め、性的マイノリティの人々が差別や偏見に苦しんでいるのは、私を含む性的マジョリティの多くが、これらの問題に無関心で、結果として差別を放置してきたからだと考えています。そうであれば、この状況を解消する責任は、性的マジョリティこそが負っていることになります。同性間の婚姻が認められたからといって、性的マイノリティの人々に対する差別や偏見のすべてが直ちに解消されるわけではありませんが、私は、結婚の平等(同性婚の法制化)は、そのための大きな一歩になると信じています。

訴訟の今後ですが、札幌以外の4つの地域でも、続々と地裁判決が下されることが予定されています。また、札幌においては、次は札幌高裁にて判決が下されることになります。いずれにしても、これは非常に重要な憲法問題ですので、最終的には最高裁にて判断が下されることになります。その時期は、2023年か2024年頃になるものと予想されます。

政府は、同性間の婚姻について、国の根幹に関わる問題なので慎重な検討が必要だとしていますが、性的マイノリティの人々の人権が侵害され続けている現状は、一刻も早く解消される必要があります。昨年1月には、東京訴訟原告のお一人が脳出血で急逝されました。「いつか」「そのうち」でなく、一日も早い実現を目指して、全国の原告・弁護団はこの訴訟に全力を注いでいます。

一人でも多くの方が、この問題を「自分ごと」として捉え、問題の解決へ向けて、一緒に前へ進んでいって下さったら、とても嬉しいです。

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