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性の平等に関する委員会

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あなたのまちにパートナーシップ制度はありますか(2020年9月号)

2015年に渋谷区と世田谷区で導入された、自治体が同性カップルの関係を公認する制度であるいわゆる自治体パートナーシップ制度は、その後、全国の自治体に広がり続けています。2020年8月1日時点で、57自治体が同種の制度を導入し、導入予定や検討中の自治体も50を超えています(同性パートナーシップ・ネット調べ)。導入済み自治体の総人口は3600万人を超え、日本の総人口約1億2000万人の約30パーセントをカバーする状況です。

自治体パートナーシップ制度は婚姻のような法的権利や義務を生じさせるものではありません。そのため、メリットがわからない、あってもなくても変わらない、と思う人もいるかもしれません。しかし、自治体が同性カップルの関係を公認することはとても大きな意義があります。同性カップルを地域社会のメンバーとして公認しようということだからです。

これまで長い間、同性愛・両性愛の性的指向を持つ人は、正常でない、自然でない、変わっている、異性愛に戻さなければならない、といった世間の誤った偏見にさらされ、冷遇されてきました。周囲の人や社会からそのように扱われるのを恐れて、自分の自然な性的指向を隠して生活している人は未だに多く、本意でない異性との結婚を選ぶ人も少なくありません。さらには、自分らしさに蓋をして偽りの人生を生きることの窮屈さや絶望のあまり自死に向かう場合もあります。

地域社会でも同様であり、同性カップルはたとえ共同生活を営んでいても、単なる同居人や仲の良い友だちとして振る舞い、取り扱われることが多くあります。そのような中で、同性カップルは、二人の関係を明かした上で、住宅を借りることや購入することに困難がある、病院での付き添いや説明を受けることに困難がある、カップルでの子育てに不安がある等の様々な困難や不安を抱えています。

自治体パートナーシップ制度は、同性カップルをまさに「同性カップル」として公認しようというものであり、それは、あなたの同性愛・両性愛という性的指向と大事なパートナーを隠さなくていいんですよ、ありのままのあなた(たち)を大切にするので安心して生活してください、というメッセージを同性愛・両性愛の性的指向を持つ人と地域社会全体に届ける取り組みなのです。これにより、同性カップルは地域社会で、単なる同居人や仲の良い友だちではなく、同性カップルとして取り扱われるようになり、性的指向を含めた自分らしさを取り戻して安心して誇りを持って生活することができるでしょう。それは、同性カップルの地域社会に対する愛着の深まり、ひいては、地域社会の活力や豊かさ向上に繋がるでしょう。地域社会の活力・豊かさ向上と同性カップルの人権尊重の双方を実現する自治体パートナーシップ制度が一日も早く全自治体で導入されることを願っています。

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