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- コラム(セクシュアル・マイノリティ)
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- 東京弁護士会がPRIDE指標で4年連続でゴールドとレインボーをW受賞しました!
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- 同性パートナーの在留資格(2022年12月9日号)
- 東京三弁護士会多摩支部の取組みのご紹介(2022年12月8日号)
- 「結婚の自由をすべての人に」訴訟の進捗について(2022年12月7日号)
- 東京弁護士会が今年もPRIDE指標でゴールドとレインボーをW受賞しました!(2022年12月6日号)
- 2022年度セクシュアル・マイノリティ週間の開始にあたって(2022年12月5日号)
- 職場における性別移行ガイド(2022年7月28日号)
- 同性カップルがやがて直面する相続問題(2022年3月3日号)
- セクシュアル・マイノリティと刑事収容施設における課題について(2022年1月21日号)
- 経産省行政措置要求判定取消等請求控訴審判決について(2022年1月20日号)
- SOGIハラスメント(2022年1月19日号)
- 「結婚の自由をすべての人に」訴訟の現状と今後(2022年1月18日号)
- セクシュアル・マイノリティ週間の開始にあたって(2022年1月17日号)
- 東京弁護士会がPRIDE指標でゴールドとレインボーをW受賞しました!(2021年11月号)
- 国会議員の差別的発言について(2021年6月号)
- セクシュアル・マイノリティを意識した言葉遣い(2021年4月号)
- 東京都足立区議会における区議会議員による性的少数者に対する差別発言について(2021年1月号)
- あなたのまちにパートナーシップ制度はありますか(2020年9月号)
- 東京弁護士会がPRIDE指標でゴールドを受賞!(2019年12月号)
- 「SOGIハラ」をなくそう(2019年6月号)
- 職場でのカミングアウト(2018年10月号)
- 教育現場とセクシュアル・マイノリティ(2018年4月号)
- 今すぐ取り組める!中小企業のセクシュアル・マイノリティ支援方法(2018年2月号)
- 民間団体・企業向けハラスメント防止研修
- 女性支援ネットワーク会議
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- フィンランド視察報告書
あなたのまちにパートナーシップ制度はありますか(2020年9月号)
2015年に渋谷区と世田谷区で導入された、自治体が同性カップルの関係を公認する制度であるいわゆる自治体パートナーシップ制度は、その後、全国の自治体に広がり続けています。2020年8月1日時点で、57自治体が同種の制度を導入し、導入予定や検討中の自治体も50を超えています(同性パートナーシップ・ネット調べ)。導入済み自治体の総人口は3600万人を超え、日本の総人口約1億2000万人の約30パーセントをカバーする状況です。
自治体パートナーシップ制度は婚姻のような法的権利や義務を生じさせるものではありません。そのため、メリットがわからない、あってもなくても変わらない、と思う人もいるかもしれません。しかし、自治体が同性カップルの関係を公認することはとても大きな意義があります。同性カップルを地域社会のメンバーとして公認しようということだからです。
これまで長い間、同性愛・両性愛の性的指向を持つ人は、正常でない、自然でない、変わっている、異性愛に戻さなければならない、といった世間の誤った偏見にさらされ、冷遇されてきました。周囲の人や社会からそのように扱われるのを恐れて、自分の自然な性的指向を隠して生活している人は未だに多く、本意でない異性との結婚を選ぶ人も少なくありません。さらには、自分らしさに蓋をして偽りの人生を生きることの窮屈さや絶望のあまり自死に向かう場合もあります。
地域社会でも同様であり、同性カップルはたとえ共同生活を営んでいても、単なる同居人や仲の良い友だちとして振る舞い、取り扱われることが多くあります。そのような中で、同性カップルは、二人の関係を明かした上で、住宅を借りることや購入することに困難がある、病院での付き添いや説明を受けることに困難がある、カップルでの子育てに不安がある等の様々な困難や不安を抱えています。
自治体パートナーシップ制度は、同性カップルをまさに「同性カップル」として公認しようというものであり、それは、あなたの同性愛・両性愛という性的指向と大事なパートナーを隠さなくていいんですよ、ありのままのあなた(たち)を大切にするので安心して生活してください、というメッセージを同性愛・両性愛の性的指向を持つ人と地域社会全体に届ける取り組みなのです。これにより、同性カップルは地域社会で、単なる同居人や仲の良い友だちではなく、同性カップルとして取り扱われるようになり、性的指向を含めた自分らしさを取り戻して安心して誇りを持って生活することができるでしょう。それは、同性カップルの地域社会に対する愛着の深まり、ひいては、地域社会の活力や豊かさ向上に繋がるでしょう。地域社会の活力・豊かさ向上と同性カップルの人権尊重の双方を実現する自治体パートナーシップ制度が一日も早く全自治体で導入されることを願っています。