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全国の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の進捗報告
法律上同性のカップルの結婚を認めない現行法の諸規定が違憲であるとの司法判断を求める「結婚の自由をすべての人に訴訟」は全国で6つの裁判(札幌、東京一次・二次、名古屋、大阪、福岡)として進められています。2021年3月26日に東京地裁に提訴された東京二次訴訟は、トランスジェンダーの原告やパンセクシュアルの原告が参加しており、この問題は多様なセクシュアリティの人々が直面しているということを示しています。
2021年3月25日に札幌地裁で初めての判決として憲法14条1項違反の判断が出されたのを皮切りに、本稿執筆時(2024年3月16日)までの間に、6つの地裁判決と一つの高裁判決が出されました。大阪地裁では、この後の社会状況の変化によっては将来的に違憲となる可能性はあるとしたものの結論として合憲判決となりましたが、それ以外の地裁判決及び札幌高裁判決では現行法が違憲であるとの判断が下されました。
これまで出された判決の主な到達点は、憲法24条1項は法律上同性のカップルの結婚の法制化を禁止していないと明確に判断したこと、及び、法律上同性のカップルについて、結婚を含む法制度が現行法上何もないことが違憲であると判断したことです。
課題として残されているのは、「法律上同性のカップルの結婚を認めない現行法が違憲」であるとの明確な判断です。
法律上同性のカップルは、家族として保護されないためにさまざまな不利益や苦難に直面しています。この現状を早急に変え、今を生きるたくさんの法律上同性のカップルを一日も早く法律上の家族として保護すべきです。
しかし、家族として保護する法制度を、現状の結婚とは別の制度として検討しようというのであれば、それは差別の正当化・固定化という結果を招くということに気づかなければなりません。
親密な関係を結び、真摯な意思をもって共同生活を営み、家族を形成することは、法律上異性のカップルも、法律上同性のカップルも何も変わりません。
それなのに、家族として保護される法制度を別のものにするというのは、結婚は法律上異性のカップル専用のものであって、法律上同性のカップルはその利用を許されないほどに劣っているというメッセージを生み出すものです。それは、セクシュアルマイノリティに対する差別を真に解消するものではないのです。
2024年1月の時点で、世界では36の国・地域で法律上同性のカップルの結婚が実現しています。
現在の日本で、法律上同性のカップル専用の結婚と別の制度を構築する理由は何もありません。
つい先日(2024年3月14日)出された札幌高裁判決は、現行法を憲法24条及び14条1項に反すると断じた上で、判決の最後に付言を記し、以下のように締め括っています。
「何より、同性間の婚姻を定めることは、国民に意見や評価の統一を求めることを意味しない。根源的には個人の尊厳に関わる事柄であり、個人を尊重するということであって、同性愛者は、日々の社会生活において不利益を受け、自身の存在の喪失感に直面しているのだから、その対策を急いで講じる必要がある。したがって、喫緊の課題として、同性婚につき異性婚と同じ婚姻制度を適用することを含め、早急に真摯な議論と対応することが望まれるのではないかと思われる。」
国会は、札幌高裁の判決を受け止め、早急に法改正に着手すべきです。
そして、各地の高裁では、札幌高裁の判決を後押しに、「法律上同性のカップルの結婚を認めない現行法が違憲」という明確な判断が下されることが期待されます。
なお、2024年3月14日に出された札幌高裁判決と東京二次訴訟地裁判決については、弁護団の声明をご覧ください。
弁護団声明:こちら(PDF:2MB)からご覧ください。