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性の平等に関する委員会

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東京三弁護士会多摩支部の取組みのご紹介

東京三弁護士会多摩支部にてセクシュアル・マイノリティの問題に取り組む「多摩レインボーメンバーズ」所属の弁護士に寄稿いただきました(以下は寄稿した弁護士の意見・感想であり、東京三弁護士会多摩支部の公式見解ではありません)。

東京三弁護士会多摩支部(以下「多摩支部」)では、セクシュアル・マイノリティ向けの常設法律相談として「東京三弁護士会多摩支部レインボー相談」(面談相談、また第1・第3金曜日18時~21時の時間帯で電話相談)を試行実施していますが、相談にあたる弁護士を養成し、また多摩支部内においてもセクシュアル・マイノリティへの理解を深めるために、定期的に研修を行っています。
その一環として、多摩支部では、2024年12月、東京弁護士会でセクシュアル・マイノリティ支援活動に長年取り組んでいる本多広高弁護士を講師に迎え、「セクシュアル・マイノリティについての基礎知識」というテーマで2時間の研修講義をしていただきました。

ご存じのとおり、我が国における戸籍上の性別変更の条件は「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に定められています。そこでは、「未成年の子がいない」ことの等の他の要件のほか、性別適合手術をしていること(「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」以下「4号要件」といいます。)という要件を定めており、戸籍上の性別変更を希望する人たちに身体的負担という意味でも、経済的負担の面でも、高いハードルを課すものでした。
4号要件は、国連をはじめとする内外の団体から、正当な理由を欠く差別的な取り扱いとして勧告の対象となっており、国際社会の趨勢から考えても後れを取っているものと考えられていました。

本多弁護士は、4号要件の合憲性を争点とする審判手続の代理人を務め、静岡家庭裁判所浜松支部において、上記規定が憲法13条に違反するという違憲判断(審判)を獲得しました(令和5年10月11日審判決定)(なお、この事件の申立人はホルモン治療の影響により「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」の要件(以下「5号要件」といいます。)は満たしていました。)。令和5年10月25日には、最高裁で4号要件について違憲とし、5号要件について高裁に差し戻す判決がありました。この後、性別適合手術を受けていなかったとしても性別変更の審判を受けられるようになりました。
法律は、それが時代に合わないものであれば変えていくことが出来ますが、裁判で法律や制度の仕組みを変えていくことは容易なことではありません。
しかし、本多弁護士は、弁護士なら法律を自ら変えていく力をもっていること、他でもない弁護士がその役目を担っているということを身をもって示しており、私たち多摩支部のメンバーは大いに勇気づけられることになりました。
多摩支部レインボーメンバーの模索はまだまだ続きます。東京弁護士会をはじめ全国の弁護士とのつながりを大切に、これからも多摩の地で頑張ります。

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