アクセス
JP EN
性の平等に関する委員会

性の平等に関する委員会

 

東京三弁護士会多摩支部の取組みのご紹介

東京三弁護士会多摩支部にてセクシュアル・マイノリティの問題に取り組む「多摩レインボーメンバーズ」所属の弁護士 に寄稿いただきました(以下は寄稿した弁護士の意見・感想であり、東京三弁護士会多摩支部の公式見解ではありません )。
東京三弁護士会多摩支部(以下「多摩支部」)では、セクシュアル・マイノリティ向けの常設法律相談として「東京三弁護士会多摩支部レインボー相談」(面談相談、また第1・第3金曜日18時~21時の時間帯で電話相談)を試行実施していますが、相談にあたる弁護士を養成し、また多摩支部内においてもセクシュアル・マイノリティへの理解を深めるために、定期的に研修を行っています。
その一環として、多摩支部では、2023年12月、同性婚についての理解を深めるべく、「公益社団法人Marriage for All Japan - 結婚の自由をすべての人に」 理事の当会会員 上杉崇子弁護士を講師に迎え、「同性婚訴訟の最前線とパートナーシップ相談への対応」というテーマで2時間の講演をしていただきました。上杉崇子弁護士は、この委員会(東京弁護士会性の平等に関する委員会)でも「セクシュアル・マイノリティプロジェクトチーム」の創成期に携わりこれを大きく前進させた弁護士の一人で、そのご活躍ぶりは内外に広く知られているところであろうと思います。

上杉弁護士は同性婚訴訟弁護団のメンバーということもあり、その同性婚訴訟に関する解説は、判決の字面を追っているだけでは分からない「立体的」なもので、眼を開かされる思いでした。
憲法第24条や民法の婚姻規定の解釈の問題にとどまるのではなく、現行のパートナーシップを巡る各制度は法律婚とは比べものにならないほど大きな欠陥を持っています(例えば、法律婚は婚姻届の提出で成立するのに対しパートナーシップは公正証書作成の手間と費用が必要、パートナーには相続権がない、子の親権者や未成年後見人となる資格がない、他方パートナーへの医療同意や葬儀の参列も出来ないなど)。またこのように、大きく不備のあるパートナーシップ制度を利用する当事者の方は、つい、パートナーとの関係を「法律婚より劣った関係」であると考えてしまうようになり、これを秘密にしたりして、自己肯定感を低くしていきがちであるということも初めて知りました。
そうやって現行の制度全体を見ていくと、同性婚訴訟の合憲判断はやはり誤りであるという思いをいっそう強く持ちました。
上杉弁護士によれば、「同性パートナーシップ制度という代替的制度があるから、同性婚を法律婚として認めなくてもよい。」という判断は、かつてのアメリカの黒人差別を温存させたスローガンである「分離すれども平等(だから差別ではない。)」 という概念を彷彿とさせるもので、れっきとした差別であるということでした。また、法律婚を「男女」のカップルに限るという考え方は、「伝統的家族観」の名残りであり、性別役割分業思想の克服から出発している男女共同参画社会の考え方とは根本的に矛盾するのではないか、という指摘は非常に説得力がありました。

その後、講師をお招きしての懇親会が行われ、参加者それぞれが「夫婦別姓」「私の考えるパートナーシップ」について意見交換するなど、研修での気づきを一層深めるものとなりました。

多摩支部では、セクシュアル・マイノリティでもそうでなくても共生できる住みやすい社会を実現したいと、小さく地道ではありますが、活動をしています。今後もこういった活動を継続してまいります。

性の平等に関する委員会メニュー