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性別の取扱いの変更要件に関する最近の動き等について
最高裁判所は、2023年10月25日、「性同一性障害者の性別の取扱いの変更に関する法律」に定める性別変更の要件のうち、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」という要件(以下「4号要件」といいます。)を無効と判断しました。また、この最高裁決定には、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」という要件(以下「5号要件」といいます。)についても違憲とする反対意見が付されています。
この最高裁の判断については、以前、当コラムでも取り上げましたので、こちらを参照してください。
報道によれば、この最高裁の判断の後2025年9月までに5号要件を違憲・無効と判断した家事審判の決定が、5件確認された、とのことです。また、2025年10月31日付で、東京高等裁判所において、5号要件について「違憲になりうる」との判断を示したうえ、申立人への適用は違憲であるとし、性別変更を認める家事審判がなされました。
5号要件については、最高裁決定に付された反対意見のほか、このように複数の裁判所の判断において、違憲ないし違憲になりうると判断されており、5号要件は違憲の疑いが強いものとなっています。
また、性別変更のための他の要件である「現に婚姻をしていないこと」という要件についても、これを違憲であると主張して、妻と婚姻関係にあるトランスジェンダー女性(法令上の性別は男性。女性として生活している。)が性別変更を求める家事審判を申し立てたことが報道されました。この要件については、異性間においてのみ婚姻が認められている現在の婚姻秩序に混乱を生じさせかねない等の配慮に基づくなどと説明がなされています。しかし、法律上同性であるカップルに婚姻を認めない現状に関しては、各地の裁判所で違憲との判断がなされているところでもあり、性別を変更するためにこの要件の充足を必要とする合理性は極めて疑わしくなっているといえます。
なお、性別変更の申立てをする人は、すでに変更後の性別で生活しており、生活実態に法令上の性別を合わせるための申立てとなっていることも多く、性別変更を認めないことがかえって社会的混乱を招く場合があることも指摘されているところです。
このように、性別変更の要件については、最高裁が4号要件を違憲無効と判断しているほか、他の要件についても、違憲の疑いがより明らかになってきています。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(いわゆる「LGBT理解増進法」)は、第3条(基本理念)において、「全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」とうたっています。そして、最高裁その他の裁判例も認めるように、性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けることは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益といえます。このため、性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるための法律上の要件が違憲又は違憲の疑いが強い現在の状況は、早期に解消されることが望まれます。
4号要件を無効とした最高裁の判断から、すでに2年が経過しています。立法府においては、速やかに、性別変更の要件を緩和することを希望します。
東京弁護士会は、2022年3月23日付「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の『現に未成年の子がいないこと』の要件に関する意見書」などにより、特例法の要件緩和を訴えてきたところですが、今後も、立法府への働きかけを含め、セクシュアル・マイノリティの人権擁護のための活動を続けていきます。
