東京弁護士会
憲法問題対策センター

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第5回 演劇「あたらしい憲法のはなし3」が2021年9月10日~12日まで東京芸術劇場で開催されます(2021年9月号)

弁護士 津田二郎(東京弁護士会憲法問題対策センター事務局長)

私たち、東京弁護士会憲法問題対策センターでは、広く市民の皆さんに私たちの問題意識を届けるにはどうしたらよいか、特に世代が違う若年層に訴求力を持つにはどうしたらよいか、日々悩み、試行錯誤しています。
そんな折、文部省(当時)が作成した『あたらしい憲法のはなし』を題材にした、学生たちが中心になった演劇が行われるという話を聞いたので、主催者の方に取材を申し込み、お話を聞かせていただきました(取材日2021年8月26日)。

『あたらしい憲法のはなし3』は、都内の5つの大学が集まった「東京演劇大学連盟」(演大連)が後援し共同制作公演として行うもので、共同制作公演は今回が8回目だということです。毎年担当校が持ち回りで企画立案を行っており、今年は多摩美術大学が2回目の担当校だということです。

そもそも戦後のすぐのわずかな時期にしか使われなかった文部省(当時)の『あたらしい憲法のはなし』。どうしてこれをテーマにしようと思ったのか。「この演劇の初演は2015年9月19日で、国会では安全保障関連法案が強行採決された日でした。多摩美術大学が企画した1回目の共同制作公演『カノン』の千秋楽の4日後に、その公演を見て、ぜひ次の担当校年になったらこの作品をやりたいと思いました」(加納豊美さん・東京演劇大学連盟・共同制作公演2021製作委員会委員長 多摩美術大学教授)。私たち弁護士会も安全保障関連法案の内容や国会審議の危うさを大いに批判し、市民に向けて憲法の価値を訴えていました。そのような社会の動きがこの公演の動機になったようです。

それではオーディションにはどんな人が応募したのでしょうか。
「もともと憲法や政治の問題に関心があり、同世代の人と政治について語り合える機会になるかもと期待したんです。」(池村爽さん<日本大学4年>キャスト)。
そんな「正統派」の学生ばかりではありません。
「私は政治や憲法に関心があったわけではなく、むしろ他の大学の学生とかかわりができることを魅力に感じました。そしてこの稽古をつうじて、政治に関心をもつようになりました。」(山本美佳さん<日本大学4年>キャスト)。
「演大連の活動に魅力を感じていました。」(柿本寛子さん<多摩美術大学4年>キャスト)。

じゃあ、憲法のことはどう思っているんだろう。
「多くの大学が集まると同じ『演劇』でもルールが違うことが分かった。違うものが集まって『同じルール』にすることが憲法に通じるのではないかなと感じています。(三宮静香さん<日本大学3年>音響プランナー)
「高校生のとき、自分の好きな著名人たちが強い口調で憲法と政治について語っていました。憲法は生活に関係ないと思っていたけど、この企画に参加して『知らなかっただけ』だと分かりました。」(山本さん)。
脚色・演出の西岳さんは、「まずは話してみることに価値があると思った」といいます。「今から未来に向けて、よりよい思いができればいいと思っている。それが憲法に書いてある」。

この企画に集まったキャスト・スタッフは総勢41人。全員が、大日本帝国憲法と日本国憲法、自民党の憲法改正草案を読んだそうです。
「憲法を読む人が増えることが未来のために大事。特に近現代史を知らないままに社会に出る人が多い中で、若い人が『憲法を読んでみるか』という気持ちになるきっかけになれば」と、加納さん。
「普通に生活を送るために憲法は無関係じゃない。だから誰でも話し合って考えていいと思っています。」(西さん)。

コロナ禍で、「自分らしく生きること」が大いに制約されている今日、フツーの若者たちが表現する「あたらしい憲法」のカタチがどういうものか、私もぜひ拝見したいと思います。

オーディションで選ばれた若き才能が『あたらしい憲法のはなし』で"わたし"たちの未来をチャットする。

日   程:2021年9月10日 (金) ~9月12日 (日) 全4ステージ
会   場:東京芸術劇場 シアターイースト(豊島区西池袋)
原   作:底本『あたらしい憲法のはなし』(文部省・1947) 
      原作『あたらしい憲法のはなし』(柴 幸男・2015)
脚色・演出:西 岳
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