東京弁護士会
憲法問題対策センター

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第2回「古くて新しい憲法のはなし①」(2021年7月号)

弁護士 津田二郎(東京弁護士会憲法問題対策センター事務局長)

1 憲法って何だろう
私たち弁護士は、「憲法は大事だ」「憲法は守られなくてはならない」などとよくいいます。それはどうしてでしょう。
憲法は、国の「基本法」といって、国のあり方を決めるルールで、国の中にある様々なルール(憲法、法律、命令、規則、条例など)の中で一番効力が強いものです。憲法に違反するようなルールは作ってはいけないことになっています。日本の憲法では、3つの根本的なあり方を決めています。
それは、①現在や将来の国の問題に対応する政策は国民自身が決められ、性別を問わず誰でも口出しできるという「国民主権」と、②自分らしく生きることを国が邪魔をしてはいけないという「基本的人権の尊重」と、③ほかの国と軍事力で争うのではなく、話し合いによって紛争をしないで解決するという「平和主義」です。
このように、日本では国のあり方を決める、国の中で最も効力が強いルールだから、私たちは「憲法を守れ」と言っているのです。

2 どうして憲法が一番強いの
「憲法」の考え方は、18世紀ころ、イギリスやフランス、アメリカなどで発展しました。当時は、国王が国で最も強い力を持っていて、自分の好きなようにルールを決めて、お金に困れば勝手に税金を高くしたり、文句を言う人を捕まえて牢獄につないだりしていました。
そのような乱暴な振舞いに我慢できなくなった市民が、国王を倒し、市民によって国の政治を行うこととしました。そのとき、市民は学んだのです。「国の政治を行う者はまちがう」ということを。
そこで、国王が支配する国に代わる新しい国では、市民の生活を守るために、国の政治を行う者が守らなければならないルールを決めて、そのルールの内側でだけ政治が国の現在の問題や将来の問題に対応する政策を行えることとしました。この、国の政治を行う者が守らなければならないルールのことを「憲法」ということにしたのです。

3 憲法を守るのは誰なの
このように、憲法は、「市民の生活を守るために決められた、国の政治を行う者が守らなければならないルール」ですから、まさに「国の政治を行う者」が守らなければなりません。日本で言えば、内閣総理大臣や国務大臣、国会議員や裁判官、その他の国家公務員、都道府県知事や都道府県議会の議員、都道府県・市町村の職員などの地方公務員です。
「憲法は国民も守らなければならない」という人がいますが、「憲法」というルールのなり立ちからすると間違った考え方です。

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