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憲法問題対策センター

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第16回「古くて新しい憲法のはなし⑤ 生活の中で憲法を使って生きてみませんか。」(2022年5月号)

弁護士 津田二郎(東京弁護士会憲法問題対策センター事務局長)
生活の中で憲法を使って生きてみませんか。

新年度が始まり、進学や進級、就職など、新しい生活を始められた方も多いのではないかと思います。
みなさん、それぞれおめでとうございます。

ところで、学校といえば、家族やお友達、ご親戚やご近所の方などに、学校に行けなくなっている方はいませんか。
小学校・中学校は「義務教育」といわれますが、憲法は子どもに「学校へ行け」と義務づけているのではありません。私たち大人に対して、子どもたちを学校に行かせなければならないとしているのです。ですから、もし小学校・中学校に行けなくなっている子どもがいたら、私たち大人が知恵を出し合って学校に行けるように工夫することが求められているのです。

高校や大学、専門学校に進みたいけれども、経済的な事情でためらっている方はいませんか。
憲法は、能力に応じて教育を受ける権利を保障しています。経済的な事情が障害になっているなら、その障害を取り払うように工夫するのが政治の役割です。貸付型奨学金という名の借金の借り入れにためらいを感じるのは当然のことです。お金を借りなくとも、安心して進学できるようにするのは政治の責任です。
私たちには、経済的な心配なく進学させてほしいと政治に求める権利があります。私もあなたも、「主権者」だからです。主権者とは、国のあり方を決める権限がある人のことをいいます。主権者である私たちが望むのであれば、政治は全力でそれを実現しなければなりません。

働いていて、「有給休暇がとれない」、「サービス残業させられていて残業代が支払われない」などの不便を感じている人はいませんか。
憲法は、健康で文化的な最低限度の生活を送ることを保障した上、労働の権利もまた認めています。有給休暇の制度や残業代を割高にすることなどは、働かされすぎて健康を損なったり、死んでしまったりすることのないように、憲法の規定を踏まえて労働基準法で定められた制度です。
労働条件が採用時の話と違う、労働条件の約束が守られない、そんなときはどうぞ弁護士に相談してください。

「学校に通えない」とか「どうも校則に納得がいかない」、「労働条件が守られない」などの「生きづらさ」を感じたら、どうぞ弁護士にお声がけください。弁護士に相談したら何でも解決できる、なんて大風呂敷は広げられませんが、一緒に悩むことはできます。一緒に悩むことができたら解決策が見つかるかもしれません。「生きづらさ」を一人で抱え込まないでください。そしてそれを自分のせいにしたりしないでください。

弁護士が一緒に悩むことで憲法や法律を使って解決できることもたくさんあります。あなたが抱えている悩みはあなただけのことではなくて、実は周りにたくさんの人が同じように抱えていることがあります。たくさんの人が共通に悩みを抱えているなら、「わがまま」ではありません。多くの人が共通の悩みをもつなら、共通する原因があるかもしれません。原因が共通するなら解決することもできるかもしれません。

みなさんは、生活の中で憲法を使っていますか。使ったことがないならもったいない。
よかったら、私たち弁護士と一緒に憲法を使って、より豊かに生きられるように工夫してみませんか。

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