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憲法問題対策センター

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第46回 違憲な安保法制成立から10年たって(2025年11月号)

大森 夏織 (東京弁護士会憲法問題対策センター委員)
違憲な安保法制成立から10年たって

今年9月19日。いわゆる安保法案が2015年9月に両院の強行裁決により成立してしまった時から10年が経過しました。東弁は今年も、安保法制に盛り込まれた集団的自衛権の行使等が憲法9条に違反し許されないことなどを指摘した「安保法制成立後10年経過にあたり、改めて同法制が違憲であることを確認する会長声明」を発出しました。同時に、東弁憲法センターは、10年目の新たな怒りをこめた国会前総行動に参加し、約1時間の行動中、演台の裾に東弁の幟が誇り高く翻りました。

思えば10年前の2015年9月19日。法案強行採決時も、東弁の幟は、雨の中(雨の多い年でした)、国会前に翻っていました。しかし、歴代内閣法制長官、最高裁判事経験者、大多数の憲法学者が反対し、日弁連および東弁を含むすべての単位会が反対声明を発出するなか、安保法は強行採決により成立してしまいました。

2015年度の東弁の憲法担当副会長を拝命していた私は、東弁だけで100人を超える女性弁護士、東京三会で160名の女性弁護士が参加した「安保法反対女性弁護士101人大集合!」の集会と有楽町街宣、歴代全ての東弁会長による安保法反対共同声明と記者会見、戦後70年一大イベントの写真展・資料展・親子企画・コンサート・シンポ、クレオに報道陣があふれかえった日弁連「安保法反対 オール法曹&学者」への東弁会員の大結集、国会前行動への東弁幟を持参しての連日参加、会派主催憲法企画「後援」の実現などに、東弁会員の皆様、職員の方々会長以下役員の方々のあたたかいご支援ご協力のもと、尽力しました。

10年後の現在、弁護士会の安保法廃案の運動が盛り上がっているか、注目されているか、と言われれば、そうではないでしょう。むしろ、この10年、憲法の明文改憲のリスクは高まり、事実上の戦闘地域での自衛隊による武器使用、敵基地攻撃能力保有の議論など、許されない解釈改憲も年々深刻化しています。世界各地ではさらなる武力行使が激化しこどもたちが日々傷つきなくなっています。胸が痛み怒りを覚えることばかりの日々です。

しかしながら、東弁は、この10年間、歴代の会長が、必ず平和のための会長声明・談話を欠かすことなく、安保法の憲法違反をあらためて指摘し、そのときどきの軍事的動きを毅然と批判してきました。東弁に所属する私の誇りであり、そして私たちひとりひとりの東弁に所属する弁護士も、1日1日、深く静かに、恒久平和主義を謳う憲法前文と9条の価値を訴え続けることが大事です。

東弁は、これまでもこれからも、平和を踏みにじる違憲な安保法の強行採決を決して許さないという固い決意を示します。

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