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公益通報者保護特別委員会

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内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)の見直し(2022年5月号)

内部通報制度認証(WCMS認証(Whistleblowing Compliance Management System認証))とは、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を踏まえて内部通報制度を適切に整備・運用している事業者を高く評価する制度で、WCMS認証には、①事業者自らが自身の内部通報制度を審査した結果を登録する「自己適合宣言制度」、②中立公正な第三者機関が事業者の内部通報制度を審査・認証する「第三者認証制度」の2種類があります。 「自己適合宣言登録制度」については、2018年12月に公益社団法人商事法務研究会が指定登録機関に指定され、2019年2月から運営されており、2022年1月31日時点で130社超の事業者が登録されています(後者の「第三者認証制度」については、「自己適合宣言登録制度」の運用状況を踏まえつつ、導入されることが予定されていますが、現時点まで「第三者認証制度」は導入されていません)。 WCMS認証を受けることで、消費者・取引先からの信頼、企業ブランドの向上、金融市場からの評価、優秀な人材の確保等に繋がることが期待されると考えられているほか、実効性のある内部通報制度は、組織の自浄作用や風通しを向上させるとともに、安全・安心な製品等の提供に寄与するため、近年、関心が高まっているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の目標8(経済成長と雇用)及び12(持続可能な生産と消費)にも資すると考えられています(認証制度の詳細については、当委員会ブログ2018年12月号及び2019年2月号に掲載されています)。

当該「自己適合宣言登録制度」について、2022年2月1日、消費者庁より、2022年6月に施行される改正公益通報者保護法(以下「改正法」といいます。)において、常時使用する労働者数が300人を超える事業者に内部公益通報対応体制整備義務が新たに課されたこと(改正法11条2項・3項)等を踏まえ、内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)を見直し、今後、改正法の施行状況や事業者の要望等も踏まえつつ新たな制度を検討することとし、内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)については、当面、休止することが公表されました(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/research/review_meeting_002/)。 なお、2022年1月31日時点において内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)に登録されている事業者については、登録日または更新登録日から1年間、引き続き同制度の登録事業者として積極的な宣伝、活動およびWCMSマークを使用することができることとされているため、当面は登録事業者に対する影響はないものと考えられます。ただし、登録日または更新登録日から1年が経過した後は、できる限り速やかに掲出済みのWCMSマークを削除することが求められていることから、自社のWCMSマークの使用期限を注視する必要があります。 また、「今後、改正法の施行状況や事業者の要望等も踏まえつつ新たな制度を検討する」こととされていますが、現時点では「新たな制度」の内容は不明であり、改正法と併せて今後の認証の取扱いや内部通報制度認証の見直しについても動向を注視していく必要があります。「新たな制度」の具体的内容が公表された場合には、企業価値の向上に向けて新たな認証制度の活用を検討していただければと思います。

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