東京弁護士会
公益通報者保護特別委員会

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セクハラは公益通報者保護法の対象となるか(2016年7月号)

 アベノミクスの成長戦略のもと、「女性活躍推進法」が制定され、本年4月1日から、労働者が301人以上の大企業は女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務付けられました。働く女性が増加する中で、職場におけるセクシャルハラスメント(以下「セクハラ」といいます。)が大きな社会問題となっています。昨今では女性のみならず男性がセクハラ被害を受けるケースもみられます。
 では、職場でセクハラが行われていることを通報した場合、通報者は公益通報者保護法で保護されるのでしょうか。
 公益通報者保護法は、保護の対象となる通報事実(以下「通報対象事実」といいます。)を限定しています。違法な行為というだけでなく、一定の法律(平成28年4月1日現在で457の法律)により直接的もしくは間接的に罰則の対象とされている違法行為が通報対象事実となります。
 例えば、残業代の不払いや労災隠しは、労働基準法や労働安全衛生法違反で罰則の対象とされているため、通報対象事実に該当します。一方、セクハラは、民法や男女雇用機会均等法などに反する違法な行為にはなりえますが、一般に罰則の対象とされていないため、基本的には通報対象事実に該当しないと考えられます。例外的に、強制わいせつ罪や強要罪など刑罰の対象となる態様で行われた場合は通報対象事実に該当するといえます。
 このように、セクハラは基本的には公益通報者保護法で保護される対象に含まれないと考えられますが、職場におけるセクハラ対策は、事業者に課せられた職場環境配慮義務の範囲内にあります。そのため、内部通報窓口を設置している企業の多くは、公益通報者保護法に定める通報対象事実よりも広い範囲の事実を内部通報の対象とし、セクハラに関する通報も受け付けているのが実情のようです。
 自分が通報しようとしている事実が通報対象事実に該当するのかわからないという方、その他公益通報に関する悩みをお抱えの方は、東京弁護士会の公益通報相談窓口に是非ご相談ください。

以上

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