アクセス
JP EN
公益通報者保護特別委員会

公益通報者保護特別委員会

 

社内通報窓口の整備(2022年4月号)

2022年6月、改正公益通報者保護法が施行されます。事業者におかれては、同法における「公益通報に応じ適切に対応するために必要な体制の整備」等が大詰めを迎えられていることと思います。

筆者は数年前まで社内通報窓口を担当しておりました。前任者から引き継ぐ際、「うちの会社では通報はほとんど来ないですから。」と言われておりましたが、実際、担当していた数年間で、数件あったかどうかというところです。また、この企業は外部相談窓口も設置しており、外部窓口担当の弁護士に話を聞いたところ、「もう何年も複数の企業の外部窓口を担当しているけれど、御社からの通報は今まで1件もないです。」というのです。これまでもコラムで何度か触れられていますが、通報のない会社が必ずしも何の問題もない会社ではありません。では、通報がない原因は何かというと、(i)通報制度自体の周知が不十分、(ii)通報制度の秘匿性についての不安がある、(iii)通報窓口担当者がこわい?!(敷居が高い)といったことが推測されます。対応策としては、ありきたりですが、なるべく多様な通報手段(電話、メール、手紙など)を設け、通報担当者が改正法により刑事罰付の守秘義務を負っており通報内容の秘匿性は十分担保されていることなどを社内研修で説明したり、社内イントラネットなどに掲載して、通報制度がいかに利用しやすい制度であるかを根気よく社内に浸透させていくしかないでしょう。通報先を記載したカード型の携帯ツールなどを配布している企業もありますが、周知方法の工夫の一つといえるかと思います。また、通報窓口担当者がヒアリング方法などの研修を受け、通報対応の自己研鑽を積むことも考えられます。ちなみに、筆者も研修で通報のロールプレイングなどを経験しましたが、勉強になりました。 改正法に従って体制を整備するとしても、形ばかりでなく、法の趣旨に則り、真に通報者が通報しやすい制度設計や社内の環境づくりを含めた体制の整備を心掛けたいものです。

会社に内部通報窓口がない、会社に通報しても是正されないという場合は、行政通報や外部通報という方法もありますが、自分の通報が保護されるものか否か判断に迷うことも多いと思います。東京弁護士会の公益通報者相談窓口は、通報をこれからしようとする人、通報をしたことによって不利益な取り扱いを受けている人に対して助言と協力をいたしますので、お気軽にご相談ください。

通報窓口や相談窓口の設置をご検討されている企業その他の団体からのご相談にも応じておりますので、ご活用ください。

公益通報者保護特別委員会メニュー