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公益通報者保護特別委員会

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令和7年4月15日、第217回国会衆議院本会議において、公益通報者保護法の一部を改正する法律案に関する審議が始まりました。(2025年4月号)

令和7年4月15日、衆議院本会議にて公益通報者保護法の一部を改正する法律案の説明とそれに対する質疑及び答弁が行われました。

法律案の趣旨について、令和2年改正後も国民の生命、身体、財産等の保護に関する法令に違反する事実等が発生していることを踏まえ、①事業者の体制整備の徹底と実効性の向上、②公益通報者の範囲拡大、③公益通報阻害要因への対処、及び④公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止、救済の強化を図る必要がある旨、説明がなされました。

そして、法律案の概要について、(a)従事者指定義務違反事業者が勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の罰則規定、事業者に対する立入調査権限等の規定を設け、また、労働者等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務の明示規定を設けること、(b)公益通報者の範囲にフリーランスを追加し、公益通報をしたことを理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いを禁止すること、(c)正当な理由なく事業者が労働者等に対して公益通報をしない旨の合意を求めること等の通報妨害を禁止し、仮に当該合意等が行われた場合は無効とすること、事業者による正当な理由のない公益通報者探索を禁止すること、(d)公益通報後1年以内にされた解雇又は懲戒について、公益通報を理由として行われたものでないことについて事業者が立証責任を負うこと、上記解雇又は懲戒をした者に対する罰則(※執筆者注:行為者個人には6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人には3,000万円以下の罰金)を設けることが説明されました。

続いて、質疑及び答弁につき紙面の都合上、2点のみ抜粋してご紹介します。

まず、上記(c)との関係で、通報妨害や通報者探索は正当な理由がない場合に禁止されるところ、「正当な理由」とはどのようなものかという質問がありました。

これに対して、通報妨害については、特段の根拠なく報道機関や取引先等に通報しないよう求めること、通報者探索については、必要な調整や是正のために通報者の特定につながる事項を問うことが該当し得る旨、答弁がありました。

次に、上記(d)との関係で、解雇又は懲戒が罰則の対象とされているところ、不利益な取扱いとして配置転換が2番目に多いとの調査結果がある中、なぜ配置転換等が対象とならないのかとの質問がありました。これに対しては、配置転換は適材適所の配置や人材育成の観点から事業者の広い裁量のもとに頻繁に行われており、必ずしも不利益な取扱いとはいえないこと、また、その態様が様々で、不利益性は個人の主観等に依存する部分が大きいことから、罰則の対象とすることは困難である旨の答弁がありました。

いずれにしても公益通報者の保護を徹底することで公益通報が活発化するような改正がなされることが望まれます。

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