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内部通報制度に関する民間事業者・労働者の実態調査について(2017年5月号)
お勤めの会社には内部通報窓口が設けられていますか。仮に窓口が設けられているとして、何か不正行為を見つけたときに通報をしようと思いますか。
今年の1月4日に消費者庁から公益通報者保護制度に関する民間事業者・労働者の実態調査の結果が発表されました。
以下でその結果の一部をご紹介します(*1)(*2)。
事業者への調査において、内部通報制度を導入しているかという質問については、「導入している」が46.3%、「検討中」が13.2%、「導入する予定なし」が39.2%でした。
一方、労働者への調査において、労務提供先で不正行為に関する内部通報・相談窓口が設置されているかという質問については、「設置されている」が23.9%、「設置される予定である」が4.0%、「設置されていない」が42.7%、「分からない」が29.4%でした。
必ずしも調査した事業者に勤務する労働者への調査ではないため、データの整合性が取れているわけではありませんが、制度を「導入している」との事業者側の回答と窓口が「設置されている」との労働者側の回答に20%超という差が生じているのは、せっかく導入した制度についての社内周知が足りていないということではないかと思われます。
また、労働者に労務提供先で不正行為がある(あった)ことを知った場合、労務提供先等に通報・相談しようと思うかという質問に対しては、57.0%の労働者が通報・相談を行うと回答し、43.0%の労働者は通報・相談しないという回答でした。
通報しない理由としては、「通報しても改善される見込みがない」、「自分とは無関係である」がそれぞれ27.8%と27.6%で、次いで「(労働提供先に通報した場合、又は行政機関、報道機関等に通報したことが労務提供先に知れた場合)解雇や降格、減給、配置転換等の労務上の不利益取扱いを受けるおそれがある」が24.8%でした。
公益通報者保護法が施行されてから10年が経過しましたが、その浸透度合いが十分ではないこと、また、実効性についての不安感が表れた調査結果だったのではないでしょうか。
事業者が内部にかかえる問題についての早期発見、早期解決に資する内部通報制度をより適切に運用できるよう、事業者のより一層の努力が求められそうです。
(*1)出典:消費者庁ウェブサイト(外部サイト)
(*2)「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」(消費者庁)、「平成28年度労働者における公益通報者保護制度に関する意識等のインターネット調査報告書」(消費者庁)を編集して作成。