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- 政府が公益通報者保護法の改正案の骨子を示しました(2025年3月号)
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- 欧州での公益通報者保護法制に関する動き(2022年11月号)
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- 「第二の窓」が広がる年(2022年1月号)
- 公的通報における通報者の保護の重要性(2021年11月号)
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- 改正公益通報者保護法において、事業者側に課せられる守秘義務について(2021年5月号)
- 事業者に求められる公益通報対応の体制整備について(2021年3月号)
- 改正公益通報者保護法に基づく指針の検討状況等について(2021年1月号)
- 「アフターコロナ・東証市場再編でのガバナンス体制と内部通報制度を考える」(2020年11月号)
- シンポジウム開催のご報告(公益通報者保護法改正関連)(2020年7月号)
- 内部通報窓口を絵に描いた餅にしないために(2020年1月号)
- 社内通報窓口担当者の皆さまへ2(2019年12月号)
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- 内部通報制度を広く浸透させるために(2019年6月号)
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- 公益通報者保護に関する最近の動き(2019年2月号)
- 内部通報制度と認証制度について(2018年12月号)
- コーポレートガバナンス・コード対応としての内部通報外部窓口の設置(2018年11月号)
- 社内通報窓口担当者の皆さまへ(2018年8月号)
- グループ会社などで働く皆さんへ~グループ会社等を含む一元的窓口への通報という選択肢~(2018年7月号)
- グループ会社の社長、役員、内部通報制度の実務を担う方々へ~社内内部通報制度、見直しのすゝめ~(2018年3月号)
- 昨今のデータ改ざん問題について(2017年11・12月号)
- 緊急開催!加計学園問題を契機としたシンポジウム(2017年9・10月号)
- 効果的な通報窓口のすヽめ(2017年8月号)
- 内部通報を明るくするための一工夫(2017年7月号)
- 通報者に対する不利益な取り扱いの禁止とガイドラインの改正(2017年6月号)
- 内部通報制度に関する民間事業者・労働者の実態調査について(2017年5月号)
- 通報窓口の「窓」のいろいろ(2017年4月号)
- 「内部告発」の意義を四文字熟語で言い表すと(2017年3月号)
- 公益通報者保護法ガイドラインの改正(2017年2月号)
- 通報窓口に通報がない会社は良い会社なのか?(2017年1月号)
- 事業者が公益通報窓口を設置するにあたって(2016年12月号)
- 公益通報って「社会」にとって良いもの?悪いもの?(2016年11月号)
- 「おせっかい」で、正義感にあふれた暖かみのある社会を~「いじめ」に見て見ぬふりは「もやもや」が残りませんか(2016年10月号)
- 公益通報制度の目的ってなんですか?(2016年9月号)
- 公益通報の具体例:入札談合(2016年8月号②)
- 公益通報の具体例:虚偽の広告・表示問題(2016年8月号①)
- セクハラは公益通報者保護法の対象となるか(2016年7月号)
- 通報窓口を設置する側のメリット(2016年4月号)
政府が公益通報者保護法の改正案の骨子を示しました(2025年3月号)
政府は、令和7年1月28日、自民党の会合で、公益通報者保護法の改正案の骨子を示しました。
公益通報者保護法は、令和2年の改正(令和4年6月施行)により、新たに事業者の体制整備義務や従事者指定義務及び従事者の守秘義務が規定され、より実効的な制度となることが期待されました。
しかし、令和5年度の消費者庁の実態調査によれば、多くの企業において、内部通報制度が十分に機能していない実態が明らかになっています。
そこで、公益通報者保護制度の課題と対応の検討を目的として、令和6年5月に消費者庁に公益通報者保護制度検討会が設置され、公益通報者保護法の改正を視野に、有識者により継続的に検討が行われてきました。
本ブログの前号でも記載した通り、令和6年12月27日には、公益通報者保護制度検討会が取りまとめた報告書が公表されましたが、この内容を踏まえ、今回政府が冒頭の改正案の骨子を作成しました。
政府の作成した改正案の骨子においては、事業者が内部通報の窓口の担当者を配置しない(従事者指定義務違反)場合に、国が立入検査を行う旨の規定を新設し、また行政の是正命令に従わない場合に刑事罰が科されることが盛り込まれています。
また、事業者が正当な理由なく内部通報者を特定しようとする行為が原則として禁止されています。これは、昨年発生した兵庫県知事のパワハラ疑惑問題において、内部告発をした元県幹部が、特定された後に懲戒処分を受けたことが問題視されたことも踏まえての改正です。
さらに、改正案においては、内部通報を理由として従業員を解雇や懲戒処分にした場合に、事業者や意思決定に関与した個人には刑事罰が科されます。具体的には、通報者を解雇や懲戒処分にした事業者には3000万円以下の罰金が科せられ、意思決定に関与した個人には、6ヶ月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金が科されます。但し、それ以外の配置転換やハラスメント・嫌がらせ等の不利益処分に対する刑事罰ついては、客観的に明確な認定が可能かどうか議論が有り得ること等から、将来的課題とし今回の改正には盛り込まれていません。
また、内部通報を理由とする解雇や懲戒処分を受けた通報者が事業者に対して民事裁判を起こした場合には、当該解雇や懲戒処分が「公益通報を理由とすること」についての立証責任について、事業者側に転換されるものとされています。
一方で、現行法においては、通報を理由とした民間企業による解雇、降格、減給といった不利益な取扱いは禁止されているものの、公務員については明記がなく、地方公務員法や国家公務員法などの規定を適用することとなっています。
この点、政府は、公務員への不利益処分についても明確に禁止し、通報を理由とする分限免職(民間企業における解雇に相当します)や懲戒処分の意思決定に関与した公務員に対しても刑事罰を導入する方針です。