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公益通報者保護特別委員会

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公益通報者保護法の改正により、正当な理由なく公益通報を妨げる行為の禁止などが明文化されました(2026年10月号)

本コラム2025年7月号、同年9月号、本年3月号でも取り上げておりましたとおり、公益通報者保護法(平成16法律第122号)について、令和7(2025)年6月4日、公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年第62号)(以下「令和7年改正法」といい、改正後の公益通報者保護法(平成16法律第122号)を「法」といいます。)が成立し、令和8年12月1日の施行が予定されています。令和7年改正法公益通報者保護法では、「正当な理由なく公益通報を妨げる行為をすることの禁止」などが明文化されます(法第11条の2)。

これを踏まえ、本コラムでは、改めて各事業者、特に内部公益通報受付窓口の担当者が通報妨害について留意すべき点について考えたいと思います。

1.通報妨害の禁止

 令和8年3月31日に一部改正版が公表された「公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説」(以下「指針の解説」といい、令和7年改正法と同様、令和8年12月1日の施行が予定されています。)では、「通報妨害行為は、原則、許容されるものではなく、『正当な理由』とは限定的な場合に留まるべきである。『正当な理由』については、例えば、労働者に対して、特段の根拠もないのに単なる思い込みで報道機関や取引先等に通報行為をしないよう文書又は口頭で求めることは該当し得ると考えられる」とされています。
 また、職制上のレポーティングラインにおける報告(いわゆる上司等への報告)は、内部公益通報受付窓口に相談するための必須の要件ではないことが明確にされており、「まず上司等に報告しなければ内部公益通報受付窓口には相談できない」といった誤った理解により、通報が躊躇されることのないよう、事業者においても適切な周知等留意をすることが求められています(法第11条第2項関係)。また、そもそもの問題として、内部公益通報は、上司への相談や報告を前提としない制度として想定されており(法2条1項、法3条1項1号)、法の趣旨を踏まえ、留意事項が明確化されたものと考えられます。なお、上司の立場にある方の中には、公益通報者保護法は内部公益通報受付窓口(いわゆる「ホットライン」)のみに関係するという認識の方も相応にいらっしゃるように思います。職制上のレポーティングにおける上司等への報告も、公益通者保護法の要件を満たす場合には内部公益通報に当たり、法や指針や指針の解説に則った対応が求められることについての周知が現時点で不十分でいらっしゃる会社はその点を含めた周知をしていただく必要があると考えられます。

2.実務上の対応と留意点

 通報妨害行為としてわかりやすいのは、例えば事業者が従業員に対して「通報しないように文書や口頭で求める」「社外の通報先等に連絡しないよう求める」「通報した場合の人事上の不利益をほのめかす」等の行為です。しかし、このような露骨な言動がなされることばかりではないでしょう。
 実務上悩ましいのは、内部公益通報制度の運用の中に潜む、通報妨害となり得る行為です。例えば、事業者の中には、内部公益通報受付窓口を職制上のレポーティングラインで解決が図れない場合のルートとして位置付け、社内に周知していることもあるかもしれません。
 しかし、職制上のレポーティングラインへの相談を窓口への相談の前提とする運用となっている場合は、前記1.の法の趣旨を踏まえ見直す必要があります。また、内部公益通報受付窓口の担当者が相談を受けた際、相談内容や緊急度によっては、「まずは直属の上司に相談してみたらどうか」「部門内で検討してはどうか」といった対応をすることもあるかもしれません。
 もちろん、相談内容に応じ相談者に対して適切な相談先を案内すること自体が直ちに通報妨害に当たるわけではありません。
 しかし、内部公益通報の対象となる事項について、上司等への相談や部門内での解決を促すことにより結果として通報を躊躇させることになれば、通報妨害に該当する可能性もあり得ます。特に、相談者が上司や所属部門への相談を望んでいない事情がある場合等は慎重な対応が求められるでしょう。
 事業者としては、今回の改正では、常時使用する労働者等の数が301名以上であれば周知義務(内部公益通報受付窓口の設置事項並びに連絡先及び連絡方法を含む、9つの周知事項)への対応をとること、労働者数にかかわらず「事業者」(2条1項各号)に該当するということであればいわゆるフリーランス(特定受託業務従事者若しくは特定受託業務従事者であった者)が通報主体に追加となることだけでなく、上記の通報妨害のほか明文化された通報者探索の禁止等も含め、現在の運用が通報を躊躇させるものとなっていないか改めて確認することが重要です。

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