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模擬評議の実施レポート<平成27年1月13日 東海大学付属高輪台高等学校>

平成27年1月13日、当センターは、東海大学付属高輪台高等学校に、2名の委員を派遣し、高校3年生の生徒さんに、模擬評議を体験していただきました。

同高校の3年生は、既に進学が決まっている方も多く、法学部に進学される方も複数名いらっしゃるとのことでしたので、私もいつも以上に気を引き締めて講義に臨ませていただきました。

今回の講義では、派遣講師が簡単に裁判員裁判の制度について解説した後に、弟が兄を死なせてしまった事件の裁判劇DVDをもとに被告人に殺意があったか否か、正当防衛が成立するか否かについて、議論してもらいました。

模擬評議は、5~6名のグループに分かれて行われました。各グループに法学部に進学する生徒さんが入っていて、積極的に議論をリードされていたので、非常に頼もしかったです。

肝心の評議の内容ですが、最初の方は、直感で自分たちの結論を決めて、その結論に都合のいい事実を挙げるというような考え方をしているグループもありましたが、それだと間違いが起こる可能性があると説明すると、納得して再度議論してくれました。

また、どのグループも疑問点について、積極的に質問をしてくれたので、とても説明しがいがありました。その中になるほどと思うことがあったのですが、それは「殺意からでなく、正当防衛から議論した方がいいのでは?」という質問です。本来の法律的な思考では、犯罪の要件を満たしたことを確認した上で、正当防衛の検討に入ることがルールとなっています。しかし、模擬評議では時間の都合から、殺意の有無と正当防衛の成否に争点が絞られているところ、殺意の有無にかかわらず犯罪が成立する一方、正当防衛が成立すれば、犯罪は一切成立しないことになります。そうすると、確かに、与えられた情報の中では、正当防衛から検討するという発想は合理的であり、模擬評議の説明に工夫が必要だと思いました。そして、何よりこの質問で、生徒さん達が自分達で工夫して議論してくれていることが分かり嬉しく思いました。

模擬評議を終えてから各班に結果を発表してもらったのですが、殺意の有無についても、正当防衛の成否についても、ほぼ半数ずつに結論が分かれており、様々な価値観が反映されたものとなっていました

授業終了後も生徒さんが、法曹になるためにはどうすればいいか等質問に来て下さり、大変嬉しく思いました。数年後、法曹になられた生徒さんに、「あのとき講義を受けていました。」と言われないかなと少し期待を抱いてしまいました。

これは期待が過ぎるとしても、今回の講義で議論の練習をしたことが、生徒の皆さんの将来において少しでも役に立てばとても嬉しく思います。

ありがとうございました。

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