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模擬評議の実施レポート<平成27年1月27日 東京都立大江戸高等学校>

平成27年1月27日、当センターは、都立大江戸高等学校に5名の委員を派遣し、高校3年生の生徒さんに、「現代社会」の時間を利用して模擬評議を体験していただきました。同高校は、3部制という午前の部、午後の部、夜間の部のいずれかに所属するという、特殊なカリキュラムが組まれている学校です。普段はあまり交流のないそれぞれの部の生徒さんたちが一堂に会して今回の模擬評議は行われました。

今回の講義では、派遣講師が簡単に裁判員裁判の制度や「疑わしきは被告人の利益に」という事の意味、また「殺意」について解説した後に、弟が兄を死なせてしまった事件の裁判劇DVDをもとに被告人に殺意があったか否かについて、議論してもらいました。

模擬評議は、6~9名のグループに分かれて行われました。普段あまり交流のないという生徒さん同士のグループでうまく議論ができるか少し心配していましたが、どのグループにも議論をリードしたり、交通整理をしようとする生徒さんがいて、自分たちで積極的に議論を進めていました。

評議の内容については、最初の方は、動機や犯行前の被告人の「ぶっ殺してやる」といった言動のみに着目して結論を導こうとしているグループもありましたが、どんな犯行態様だったか、また客観的な証拠にはどんなものがあるか、と少し水を向けると、一生懸命配布資料をめくり、頭に傷がある!とか口や鼻は隙間があったかもしれない、少なくとも弟は隙間があると思っていたかもしれない、などと気づいた点を挙げてくれるようになりました。

評議の結果は、10グループのうち、5グループが殺意なし、1グループが同数で決められず、4グループが殺意あり、とバラバラの結果になりました。結論を導く根拠についても、「息をしていないと気付いた後に、人工呼吸などをしていない」という点を挙げたり、布団の近くに灰皿があった点を取り上げて、「灰皿で殴ることもできたのにそれをしていない」という点をあげて殺意を否定するなど、生徒さんたちがそれぞれのグループで議論を深めてくれたことがよくわかりました。

授業終了後には生徒さんから積極的に質問がありました。例えば、裁判員が遺体の写真を見てPTSDとなってしまった方が裁判を起こしている、というニュースを見たという生徒さんからは、裁判員になったら、そのような見たくない写真を見なければいけないのか、またそれが嫌だという理由で裁判員になることを拒否できるのか、という質問がありました。自分にも裁判員候補者となる可能性があると知って、自分のこととして裁判員制度をとらえているのだと少し驚くと同時に、嬉しくも思いました。

今回の模擬評議で、少しでも司法を身近に感じてもらえたとすれば、大変意義のあることだと感じました。

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